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日まはり
ひまわり
著者三好 達治
文字遣い旧字旧仮名
底本 「三好達治全集第一卷」 筑摩書房
1964(昭和39)年10月15日
入力者kompass
校正者杉浦鳥見
公開 / 更新2020-10-29 / 2020-09-28
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)
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本文より


橋の袂の日まはり
床屋の裏の日まはり
水車小屋の日まはり
交番の陰の日まはり
頽れた築地の上に聳える
路ばたの墓地の日まはり
丘の上の洒落た一つ家
そのまた上の 女學校の 寄宿舍の
庭の日まはり
ああ日まはり
日まはり
それは旺んな季節の洪水
七月 この海邊の町を不意打して
この小さな町をとりかこみ 占領し
彼らの眞晝の凱歌をうたふ
日まはり
日まはり
彼方町はづれの踏切にも
此方天守の崩れた城址にも
ここかしこ 到るところに
いま一ひらの雲もない青空をささげて咲いた日まはり
日まはり
若き日のわが夢のかずかず
…………………………
しかはあれその花の一輪にだも
今日の日のわれが望みはしかざるなり
げにその花の一輪にだも
海の音彼方に高き日ざかりを
いまこの町をゆきゆきて
なほその花の下陰にわれは立つとも



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