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秋日口占
しゅうじつこうせん
著者三好 達治
文字遣い旧字旧仮名
底本 「三好達治全集第一卷」 筑摩書房
1964(昭和39)年10月15日
入力者kompass
校正者杉浦鳥見
公開 / 更新2019-12-01 / 2019-11-24
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)
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本文より


われながく憂ひに栖みて
はやく身は老いんとすらん

ふたつなきいのちをかくて
愚かにもうしなひつるよ

秋の日の高きにたちて
こしかたをおもへばかなし

すぎし日の憂ひならねば
あまからぬこの歎きかな

見よ彼方
日は眞晝

藍ふかき海のはるかに
眞白なる鴎どりはも

一羽ゐてなに思ふらん
波の穗にうかびただよふ

願はくばわが老いらくの
日もかかれ 世の外にして

つたなかる心ひとつを
いだきつつわが來し旅の

ゆくすゑをいゆきたどらん
よしやえし西も東も

今はとてかへるすべなき
これはこれ旅にしあれば

相模野の野のすゑつかた
おしなべてものはおとろへ

われひとりかくつぶやくに
風高し端山艸山



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