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『パンドラの匣』あとがき
『パンドラのはこ』あとがき |
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作品ID | 54180 |
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著者 | 太宰 治 Ⓦ |
文字遣い | 旧字旧仮名 |
底本 |
「太宰治全集11」 筑摩書房 1999(平成11)年3月25日 |
初出 | 「パンドラの匣」双英書房、1947(昭和22)年6月25日 |
入力者 | 小林繁雄 |
校正者 | 阿部哲也 |
公開 / 更新 | 2012-03-08 / 2014-09-16 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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この小説は、終戰後に仙臺の河北新報社から出版せられたものであるが、河北新報社が或る印刷技術の支障に依り、再版に手まどる樣子で、讀者の要望もある樣子だし、河北新報社出版部の宮崎泰二郎氏の好意ある了承のもとに、その再版を、岩月英男君にゆだねた。
岩月君は、私と十年もそれ以上も昔からの知合ひである。井伏鱒二氏の門にかよつてゐたので、私と知合ひになつたのである。このたび、出版業をはじめるさうで、その第一出版を、同門のよしみで、私のこの「パンドラの匣」にしたいと言ふ。いまの状勢で、あらたに出版業をはじめる事の難儀は、私の如き迂愚の者にも察しがつく。さいはひにして、大過無き出發となつてくれたらよいと、いまはそれを祈るばかりである。以上。
昭和二十二年晩春