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水車小屋
すいしゃごや |
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作品ID | 54234 |
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著者 | 槙村 浩 Ⓦ |
文字遣い | 新字旧仮名 |
底本 |
「槇村浩全集」 平凡堂書店 1984(昭和59)年1月20日 |
入力者 | 坂本真一 |
校正者 | 雪森 |
公開 / 更新 | 2014-10-10 / 2014-09-15 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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村のはづれの水車小屋
ひとり淋しく立って居る
向の川の水車
しぶきをパッと散らしては
ぐる/\/\と威勢よく
風吹く時も雨の日も
休まずたはまず廻ってる
お日さん西に沈みかけ
夕の鐘が鳴ったとき
小屋の窓から首出して
たった一人のお爺さん
手をあて空を眺めては
「あゝ又鐘がなってゐる
今日も早、今くれて行く」
私が小屋へ来てからは
早廿年たったのか
月日のたつのは早い者
思出しては夢の様
この幾年の間には
村長さんが何べんも
かはって今の大杉さん
村のさかひに立って居た
一本松は四年前
切たふされて今はない
若い時から仲よしの
太郎兵衛どんはもう死んだ
あゝもううっかりせられない
少し休んで働かう
きせるくはへて一人言
あたりは淋しく成って来た
烏はみんなつれ立って
鎮守の森へと急ぎます
淋しく暗い其の中で
やっぱり/\威勢よく
ぐる/\まわる水車
(一一・六・二八)