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新・平家物語
しん・へいけものがたり
作品ID54326
副題01 “はしがき”に代えて
01 “はしがき”にかえて
著者吉川 英治
文字遣い新字旧仮名
底本 「吉川英治全集・33 新・平家物語(一)」 講談社
1967(昭和42)年8月20日
初出「週刊朝日」1950(昭和25)年4月号
入力者川山隆
校正者トレンドイースト
公開 / 更新2023-08-11 / 2023-08-08
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


 祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。奢れる人も久しからず。たゞ春の夜の夢のごとし。猛き者も遂には亡びぬ。偏に風の前の塵におなじ。
 遠く異朝をとぶらへば、秦の趙高、漢の王莽、梁の朱[#挿絵]、唐の禄山、これらはみな旧主先皇の政にもしたがはず、楽しみを極め諫めをも思ひ入れず、天下の乱れん事をさとらずして、民間のうれふる所を知らざりしかば、久しからずして亡じにし者共なり。
 近く本朝をうかゞふに、承平の将門、天慶の純友、康和の義親、平治の信頼、此等は猛き心も奢れることも、皆とりどりにこそありしかども、まぢかくは六波羅の入道、前太政大臣平朝臣清盛公と申しし人の有様、伝へ承るこそ心も言葉も及ばれね。
〈平家物語 序文・抄〉



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