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食品の混ぜ物処理および調理の毒物(1820)
しょくひんのまぜものしょりおよびちょうりのどくぶつ(せんはっぴゃくにじゅう) |
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作品ID | 54333 |
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原題 | A TREATISE ON ADULTERATIONS OF FOOD, AND CULINARY POISONS (1820) |
著者 | アークム フレデリック Ⓦ |
翻訳者 | 水上 茂樹 Ⓦ |
文字遣い | 新字新仮名 |
入力者 | |
校正者 | Juki |
公開 / 更新 | 2011-11-21 / 2019-03-11 |
長さの目安 | 約 164 ページ(500字/頁で計算) |
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著者 フレデリック・アークム
専門化学者、ヨーロッパの主な芸術・科学アカデミーおよび学会の会員
緒言.
この本は表題が示すように、テーブル上で必須または贅沢な品物に分類される食べ物などへの不正な混ぜ物処理(adulteration)を簡単に見つけ出せるようにし、不注意な人たちでも健康に有害物が混じった商品に気づくようにしている。
すべての人たちは、パン、ビール、ワイン、などの家庭で使われている物質にしばしば混ぜ物処理がなされていることを知っている。そして茶、コーヒー、パン、ビール、コショウ、その他の食品の混ぜ物処理をしたり偽造したことで多くの人たちが有罪になったことを今でも記憶している。
種々の生活用品を偽造し混ぜ物処理をする全く天才的な方法がこの国に入ってきて、その結果として市場の至る所に見せかけのものが存在し、あまりにも巧に作られているので経験の最もある裁判官さえも識別できないほどである。
しかし欲得ずくの商人たちがする可能性のあるすべての不正な取引と誤魔化しのうちで、最も罪が重くすべての正直な人たちに残念であり不愉快な気持ちを起こさせるのは、健康に悪い添加物を人間の食物に混ぜることである。有毒な添加物によって汚染された人間の食べ物が大衆に売られた多くの事実が記録され、このような食べ物を使ったために起きた悲劇的な事件が医学誌に記録されている。
熱心で飽くことのない金儲けへの渇望は禁止および懲罰に打ち勝ち、不道徳な商売人にとって同朋が犠牲になる可能性は二次的なものでしかない。
食物の混ぜ物処理をした個人の名前を明らかにするのは役所にとって不快なことかも知れないし、辛い義務かも知れない。しかし、私の言っていることの正しいことを示すにはそれを証拠だてる引用をしなければならず、私は議会の文書その他の公的記録を引用することにした。
この本をもっと有用にするために、ときには個人の家において種々の食品や食卓のための珍味を作るさいに気がつかないで事故または無知によって起きた物質的な誤りも指摘することにした。
不正手段を検出するのが私の目的であるが、そのために必要な実験を説明するのにさいして、化学に慣れない人でもできるような手技を示すようにした。そして一般的な使用のために不適当と思われる難解な科学用語を取り除いて、すべての必要な規則や指示を最も平易な言葉で表現するように意図してきた。
もしもここに与えた見解によって1人の読者がこの本の刊行された目的を追求したり、もしも預言者の息子たちとともに我々が警告して叫ぶ巨大な次のような悪を大衆の心中に刻み込むとしたら、この本の企画は完全に答えられたことになるでろう。
「鍋には死の毒が入っている」(列王紀下4:40)
このような悪い行為を廃めさせるためには社会のすべての階級が熱意をもって協力することが必要である…