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高館
たかだち
作品ID54395
副題―七月の旅の思ひ出―
―しちがつのたびのおもひで―
著者森川 義信
文字遣い新字旧仮名
底本 「増補 森川義信詩集」 国文社
1991(平成3)年1月10日
初出「学友 九十九号」1934(昭和9)年
入力者坂本真一
校正者フクポー
公開 / 更新2018-07-26 / 2018-06-27
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


高館に登りて見れば
小糠雨烟りて寒く
朽ちかけし家のほとりの
高き木に鳴く蝉かなし

苔かほる古き木に倚り
その昔の人をしのべど
木々に吹く風も寂しく
消えて行く思ひ儚し

遠山の淡くけむりて
北上は北の果より
その昔の夢を語らず
うね/\とうねりて流る

故郷を遠くはなれて
旅に見る夢跡かなし
生ひ繁る草木の緑
高館に吹く風寒し



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