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寧日
ねいじつ |
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作品ID | 54399 |
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著者 | 山口 芳光 Ⓦ |
文字遣い | 新字旧仮名 |
底本 |
「沖縄文学全集 第1巻 詩Ⅰ」 国書刊行会 1991(平成3)年6月6日 |
入力者 | 坂本真一 |
校正者 | フクポー |
公開 / 更新 | 2018-04-22 / 2018-03-26 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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母、吾が為に
鼠の子虫籠に入れて与へぬ
病間の徒然なる
吾指もて小づき戯れ
心明るう時を経にけり。
あはれ鼠の子まこと子なれば
耳孕[#「耳孕」はママ]桃色に 血管の脈打つも生物らしく
今は前肢を捧げ餌食みゐるも[#挿絵]たけし。
やがて夕べの風出でぬ――時を経ぬ間に
何時か牛乳の時間となりぬれば
吾鼠の事も忘れ
青葉繁れる窓に
牛乳を飲みゐたり。