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『切支丹と旧エタ』について
『きりしたんときゅうエタ』について
作品ID54440
著者喜田 貞吉
文字遣い新字新仮名
底本 「被差別部落とは何か」 河出書房新社
2008(平成20)年2月29日
初出「民族と歴史 第二巻第一号 特殊部落研究」1919(大正8)年7月
入力者川山隆
校正者門田裕志
公開 / 更新2013-02-27 / 2014-09-16
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


 本誌第一巻六号に「切支丹と旧穢多」と題して、榊原君の長崎からの通信を掲げたところが、東京中野局消印で「浦部きよし」という方から、「浦上村民は穢多ではない」との投書があった。投書家は昨年かの地に行き、親しく長崎在住の人から聞かれたところでは、「決して穢多ではない、彼らの生活や住居はすこぶる穢いが、穢多は穢多で別にある」との証言を得られた。これは同氏が特に調査の必要あって、念押しに尋ねられた結果だとの事である。なお同氏は「かくの如き重大問題は、容易に信ぜざるが、我らの態度とすべきところだ」と注意された。御注意まことに感謝するところである。自分はエタを以て特に穢れたものだとも、また賤しいものだとも思わぬから、ことに基督の教えを奉ずるこれらの人々が、世人の或る者らの間に存する訛伝を意に介せられもすまいとは思うが、目暗千人の世の中にあって、為に迷惑を感ぜられる事も少くはなかろうと、切に同情を表し、謹んで不注意の点を謝する。ただ彼らの或る者を以て、旧エタだとする説をなすもののあるのは事実らしく、京大教授坂口博士が先般かの地へ行かれた際に、或る人からはこれをエタだと教えられ、或る人からはしからずと聞かれたそうである。なおこの問題については、面白い観察もあろうと思われるから、他日の研究を期待したい。



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