えあ草紙・青空図書館 - 作品カード

作品カード検索("探偵小説"、"魯山人 雑煮"…)

楽天Kobo表紙検索

如是
にょぜ
作品ID54506
著者末吉 安持
文字遣い新字旧仮名
底本 「沖縄文学全集 第1巻 詩Ⅰ」 国書刊行会
1991(平成3)年6月6日
入力者坂本真一
校正者フクポー
公開 / 更新2018-11-06 / 2018-10-24
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

広告

えあ草紙で読む
▲ PC/スマホ/タブレット対応の無料縦書きリーダーです ▲

find 朗読を検索

本の感想を書き込もう web本棚サービスブクログ作品レビュー

find Kindle 楽天Kobo Playブックス

青空文庫の図書カードを開く

find えあ草紙・青空図書館に戻る

広告

本文より


凶会日は凶会日と見て
病めるもの衰へしもの、
床の上にすなほに僵れ、
瓶の身は砕けてちりて、
滅亡に入らむ。
床の上に破れぬ、花瓶、
されどそが『こゝろ』は如何に、
すなほにと云へど、やさしき、
砕けにはあらず、はげしく
叫ぶを聞きぬ。

人の子は瓶にもあらず、
運命は運命と観て、
秋のくれ、死ぬるといふ夜、
ほのかなる燭の火のかげに、
題目をこそ――
蝋燭はかすかに音し、
黄ばむ火は寒げに揺れぬ。
刻々に面がはりゆく
あゝ死相――刹那よ黒く、
つくは呻吟。

破瓶を画師うち抱き、
死人を法師みちびき、
秋の野へ、葬りの途に、
また聞きぬ、見ぬ、黒牛の
これも呻吟。



えあ草紙で読む
find えあ草紙・青空図書館に戻る

© 2024 Sato Kazuhiko