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夏の日
なつのひ
著者
文字遣い新字旧仮名
底本 「沖縄文学全集 第1巻 詩Ⅰ」 国書刊行会
1991(平成3)年6月6日
入力者坂本真一
校正者フクポー
公開 / 更新2018-07-27 / 2018-06-27
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)
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本文より


真夏の午の片日向、
苔すこし泥ばみ青む捨石に、
鳩酢草は呼吸細う雫に湿ひ
実を持ちぬ、かつ喘息ぎつゝ。

そのかみ誰れに小さなる
性は得て、また誰恋ひて、その熟実、
かつこぼし、かつ夜を待ちて、
いづ方へ精進の魂ぞ。

鳩酢草はえも知らず、
捨石に。――小雨のあとの風いきれ、
木々みな死ぬと泣く庭に、ひとり静に
おほどかに夢に入るさま。

蚊帳を繞れる名香に、
手枕も頬もひた痩せて病める身の
予は横臥しぬ。心こそ、鳩酢草の
魂にさながら似たれ。

風また薫り小雨しぬ。
鳩酢草も、予も一日
天地に幸福ありき。



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