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しやうりの歌
しょうりのうた
作品ID54511
著者末吉 安持
文字遣い新字旧仮名
底本 「沖縄文学全集 第1巻 詩Ⅰ」 国書刊行会
1991(平成3)年6月6日
入力者坂本真一
校正者フクポー
公開 / 更新2018-06-30 / 2018-05-27
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


闇の幕危く垂れて
二十八宿星座揺ぎ
滅亡の香凄う乱るゝ
古寺の屋根に嬉しや
白鵠の夢は醒めたり、

あな嬉し霊の御告、
白鵠は夢より醒めぬ
頼しく威ある瞳に
喙の結びたゞしく
みがまへて睨むか闇を、

平和の気温く密なる
巣の真隅、[#挿絵]を吐いて
金鱗の閃き寒う
蜿りたる地獄の私生児
うとましの怪物、鎌首

巣の雛の機を窺ひて
倚り打たむ危の刹那、
星明り白く乱れて
一叫び闇を裂きしか
虚空高く霊の羽ばたき

劫運の恐怖の帳
曙の神矢に落ちて
生命の気漲ぎる朝
白銀の翅ゆるかに
天がける霊鳥見ずや、

鎌首はかぼそくしびれ
大権威、朝の光明に
褪せはてし鱗を晒し
雛鳥に眼を啄かれて
儚なげの息絶えざまや、

あら仰げ勝利の霊は
白金の翅気高う
子等連て朝明くゆる
大空の「栄光」が招/″\に
悠かに群れとび去りぬ。



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