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玉盃の曲
ぎょくはいのきょく |
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作品ID | 54536 |
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著者 | 漢那 浪笛 Ⓦ |
文字遣い | 新字旧仮名 |
底本 |
「沖縄文学全集 第1巻 詩Ⅰ」 国書刊行会 1991(平成3)年6月6日 |
初出 | 「芸苑 第二巻第二号」1907(明治40)年2月 |
入力者 | 坂本真一 |
校正者 | 良本典代 |
公開 / 更新 | 2016-07-10 / 2016-06-10 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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ふくよかの顔面あげて
紅潮の浜にさすごと
華やかの笑みひろごりて
まなざしの光すゞしく
わが胸の奥には深く
よろこびの影こそ跳れ
わが耳に絃づる歌は
鶯の啼く音をこめね
あたたかき玉の腕に
瑠璃色の酒瓶たたけば
白百合の花よりすべる
露のごと湧くや甘酒
玉盃の縁にあふれて
白銀や黄金の花の
そこゐには咲きそむものと
口ごもる若き恋人
手をのべて盃をうくれば
わが心天の永久春
美しき追憶ばかり
絃かけぬ心をゆする
新たなる生命の花の
色馨る唇よせて
玉盃の縁にあつれば
われならぬ影こそ映れ
なめらかなうまらの酒を
喉笛にそとすべらせば
血の浪の生々ゆらぎ
天地に吾が脈かよふ