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秋の小曲
あきのしょうきょく |
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作品ID | 54543 |
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著者 | 漢那 浪笛 Ⓦ |
文字遣い | 新字旧仮名 |
底本 |
「沖縄文学全集 第1巻 詩Ⅰ」 国書刊行会 1991(平成3)年6月6日 |
初出 | 「沖縄毎日新聞」1912(大正元)年11月6日 |
入力者 | 坂本真一 |
校正者 | 良本典代 |
公開 / 更新 | 2016-11-16 / 2016-09-09 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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[#挿絵]
秋の木の葉がふるひ出す、
ものにおびへた眼の色は、
たゞ白びかり――何を見る。
ひら/\と黄葉がちる、
彼れは何処へ? 真暗な、
谷へほこらへ――あな消へた。
[#挿絵]
暗い森から鳥が啼く、
あなほろ/\と、そこなりに………
ある触るる音よ、暮るる日の
天と人とのなかを過ぐ。
食ひのこしたるパンの切れ、
ぢつとみつめば、涙ぐむ。
[#挿絵]
白髪頭のお爺さん、
曲つた腰もかまはずに、
物識り顔に世を渡る。
前にあるのは何かいな、
後ろにゐるのは誰れかいな、
静かに眼ひらき見よ!
前にあるのは白き家、
後ろにあるは、黒き影、
なかのお爺さんそを知らぬ。
[#挿絵]
空が焼けた、真紅にやけた!
悪しき獣を屠つたやうに………。
空の自然□鏡なら、
人間道 悲惨な心、
写し出した地獄□か?