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つりびとジェレミーさんのはなし
つりびとジェレミーさんのはなし |
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作品ID | 54917 |
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原題 | THE TALE OF MR. JEREMY FISHER |
著者 | ポター ビアトリクス Ⓦ |
翻訳者 | 大久保 ゆう Ⓦ |
文字遣い | 新字新仮名 |
入力者 | 大久保ゆう |
校正者 | |
公開 / 更新 | 2012-04-09 / 2022-04-21 |
長さの目安 | 約 6 ページ(500字/頁で計算) |
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[#挿絵]
[#挿絵]
[#挿絵]
ステファニーへ いとこの Bより
[#挿絵]
むかしむかし つりびとジェレミーさんという かえるが おりました。 すまいは いけの ほとり、 キンポウゲに かこまれた じめじめした こやです。
[#挿絵]
くらも、 うらぐちへ つづく ろうかも、 みずで びちゃびちゃ つるつる。
けれども ジェレミーさんは おみあしを ぬらすのが すきなのでした。 だれに おこられるでもなし、 かぜを ひくでもなし!
[#挿絵]
あるとき おもてを みると、 とっても うきうきしてきまして。 だって めのまえで おおつぶの あめが いけに ぱしゃぱしゃ ふっているんですから ――
[#挿絵]
「みみずでも つかまえて、 つりにでも でかけて、 ばんごはんに もろこでも 1さらぶん とるか。」と つりびとジェレミーさん。「5ひきよりも おおく とれたら しりあいでも まねくか。 じじがめトレミーさんに いもりやアイザックさまだな。 まあ、 じじがめさんは やさいしか くわんけども。」
[#挿絵]
ジェレミーさんは あまがっぱを はおって ぴかぴかの あまぐつを はきました。 さおと かごを とって、 ぴょーん ぴょーんと おおきく はねながら こぶねを とめてあるところへ むかいます。
[#挿絵]
それは まるく みどりの こぶねで、 まるで ふつうの スイレンの はっぱと みわけが つきません。 いけの まんなか みずくさに くくりつけてあったのです。
[#挿絵]
ジェレミーさんは アシのくきを てにして、 ふねを みずの ひらけたところへ おしうごかしていきました。「うむ、 もろこには うってつけの つりばが あるな。」
[#挿絵]
ジェレミーさんは くきを へどろに つきたて、 そこへ こぶねを とめます。
そのあと あぐらを かいて つりぐの したく。 おきにいりの あかい うき。 さおは じょうぶな くさの くき。 つりいとは じょうもので しろげの うまの ながい かみ。 さきに うねうね ちいさな みみずを とりつけました。
[#挿絵]
あめが ぽつぽつ せなかに おちるなか、 こいちじかん じっと うきを みつめます。
「たいくつに なってきた。 ここらで おひるにでも したいかな。」と つりびとジェレミーさん。
[#挿絵]
いけの そこを ついて みずくさの あたりへ もどり、 かごから おひるを とりだしました。
「ちょうちょの サンドイッチでも たべて、 にわかあめが やむまで ゆっくりでも するかな。」と つりびとジェレミーさん。
[#挿絵]
そのとき でっかい げんごろうが スイレンの はのしたに あらわれて あまぐつの つまさきを ぐっと つまみました。
ジェレミ…