えあ草紙・青空図書館 - 作品カード
楽天Kobo表紙検索
みずかきジェマイマのはなし
みずかきジェマイマのはなし |
|
作品ID | 54920 |
---|---|
原題 | THE TALE OF JEMIMA PUDDLE-DUCK |
著者 | ポター ビアトリクス Ⓦ |
翻訳者 | 大久保 ゆう Ⓦ |
文字遣い | 新字新仮名 |
入力者 | 大久保ゆう |
校正者 | |
公開 / 更新 | 2012-04-09 / 2022-04-21 |
長さの目安 | 約 10 ページ(500字/頁で計算) |
広告
広告
[#挿絵]
[#挿絵]
[#挿絵]
ラルフと ベッツィに おくる まきばの はなし
[#挿絵]
ほんと おかしな えづらですよね。 ほら、 あひるのこが めんどりと いっしょに いるんですよ!
―― いまから はなすのは、 みずかきジェマイマの ものがたり。 このあひるさん、 まきばの おくさんが じぶんに たまごを かえさせてくれないと、 なやんでおりました。
[#挿絵]
だんなの おねえさんの みずかきリベカは、 たまごを あたためるにしても はじめから だれかに まかせっぱなしで ――「わたし こらえしょうが ないから、 28にちも たまごのうえに すわりきりだなんて むり。 そうでしょ、 ジェマイマ。 あんた いつも さましちゃうじゃない、 ほら!」
「ほんとは たまご かえしたいんだけど。 みんな じぶんで かえしたいんだけど。」と みずかきジェマイマは がーがー。
[#挿絵]
じぶんの たまごを かくしてもみました。 ところが いつも みつかって とりあげられるのです。
もう やけになった みずかきジェマイマは いっそのこと まきばから とおく はなれたところで うむことに しまして。
[#挿絵]
まきばを あとにしたのは、 はれた はるのひの ひるさがり、 おかの むこうまで つづく いなかみちを すすみます。
よそいきの かたかけと おぼうしを みにつけて。
[#挿絵]
おかの てっぺんに つくと、 とおくに もりが みえてきました。
そこで ふと おもいます、 あそこなら しずかで おちつけそうだ、 と。
[#挿絵]
みずかきジェマイマは あまり とびなれては なかったのですが、 かたかけを なびかせながら おかを すこしばかり かけおり、 そらへ むかって とびたちました。
[#挿絵]
とびだしが うまくいくと、 かぜにも きれいに のれて。
うしろへ ながれていく きぎを しりめに、 やがて もりの まんなかあたり ひらけたところが みえてきます。 そこは きりひらかれて、 きも やぶも ありません。
[#挿絵]
ジェマイマは こころもち もたもたと おりたつと、 そのあとは うむのに ちょうどいい からっとしたところを さがして あたりを よちよち。 せのたかい キツネノテブクロを みつけると このあたりの きりかぶは どうかなと おもいまして。
ところが ―― きりかぶは おさきに とられていまして、 びっくりしたの なんの、 みると みなりのいい とのがたが しんぶんを よんでいたのです。
くろの とんがり おみみに、 すないろの おひげ。
「がー?」と みずかきジェマイマは あたまと おぼうしを かしげます ――「がー?」
[#挿絵]
とのがたは しんぶんから めを あげると、…