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おねずみおばさんのはなし
おねずみおばさんのはなし |
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作品ID | 54921 |
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原題 | THE TALE OF MRS. TITTLEMOUSE |
著者 | ポター ビアトリクス Ⓦ |
翻訳者 | 大久保 ゆう Ⓦ |
文字遣い | 新字新仮名 |
入力者 | 大久保ゆう |
校正者 | |
公開 / 更新 | 2012-04-09 / 2022-04-21 |
長さの目安 | 約 9 ページ(500字/頁で計算) |
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[#挿絵]
[#挿絵]
[#挿絵]
このささやかな ほんは ネリーのもの。
[#挿絵]
むかしむかし あるところに 1びきの もりねずみが おりまして、 なまえを おねずみトマシーナおばさんと いいました。
すまいは いけがきの うらにある もりつちの なか。
[#挿絵]
これが おもしろい おうちなんです! いけがきの ねっこを めぐって あっち こっちへ つちの めいろが できあがっていて、 そのさきに ものおきやら きのみや たねを たくわえておく くらが それぞれ あったりしまして。
[#挿絵]
だいどころや いまも ありますし、 それから しょっきべやや たべものおきばまで。
あと おねずみおばさんの おやすみする へやも ありまして、 そこでは ねむる ベッドが ちいさな はこに なっているんです!
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おねずみおばさんは どを こえた きれいずきの ねずみさんで、 いつだって やわらかな つちの ゆかを はきそうじ ちりはらい。
たまに まいごに なった はむしに でくわしますと、
「しっ! しっ! ばっちい あしあしさんめ!」と おねずみおばさんは もっている ちりとりを うちならすのです。
[#挿絵]
また あるひは ちいさな おばあさんが みずたまもようの あかい ケープを はおって うろちょろしておりました。
「おたくが いま もえてるんですって、 ななほしおばさま! おこさんのいる おうちへ とんで おかえりになって!」
[#挿絵]
べつの ひには まんまるした おおぐもが あまやどりに きておりまして。
「すいませんが、 ここは マフェットちゃんの おたくでは ない?」
「あっちへ おいき、 この あつかましい わるぐもめ! わたしの すてきで きれいな おうちの あっちこっちに くものすの はしきれ のこしくさって!」
[#挿絵]
そこで くもを まるめて まどから ほうりだしたのでした。
くもは ほそながい いとを ちょいと たらして いけがきを おりていくしか ありません。
[#挿絵]
おねずみおばさんが はなれにある ものおきへ むかうところ。 ばんごはんに サクランボの さねと アザミの わたげを とりにいくのです。
ろうかを すすむ あいだ、 ずっと ゆかを くんくん じっと みつめていまして。
「はちみつの においが するわ。 そとの いけがきにある クリンザクラ? どうも きたない ちいさな あしあとが あるみたい。」
[#挿絵]
かどを まがって ばったり であったのが どじじずバビティ ――「じーず、 ぶん、 ぶぅーん。」と まるはなばちの おんなのこが しゃべります。
おねずみおばさんは きッと あいてを にらみつけました。 ほうきが あれば いいのに…