えあ草紙・青空図書館 - 作品カード
楽天Kobo表紙検索
つまさきチミーのはなし
つまさきチミーのはなし |
|
作品ID | 54922 |
---|---|
原題 | THE TALE OF TIMMY TIPTOES |
著者 | ポター ビアトリクス Ⓦ |
翻訳者 | 大久保 ゆう Ⓦ |
文字遣い | 新字新仮名 |
入力者 | 大久保ゆう |
校正者 | |
公開 / 更新 | 2012-04-09 / 2022-04-21 |
長さの目安 | 約 10 ページ(500字/頁で計算) |
広告
広告
[#挿絵]
[#挿絵]
[#挿絵]
モニカを はじめとする まだみぬ ちいさな おともだちへ
[#挿絵]
むかしむかし あるところに つまさきチミーという ころころぷくぷく おきらくな はいいろりすが おりました。 たかい きの てっぺんに くさぶきの すみかがあって、 グディという おくさんの りすも います。
[#挿絵]
つまさきチミーは そとで すわって、 そよかぜを たのしんでいました。 しっぽを ひとふりして くすくすわらい ―― 「いとしの グディ、 きのみが たわわだ。 ふゆ・はるのために たくさん たくわえておこうよ。」 つまさきグディは いえの うちがわに こけを ぬりこめるのに ていっぱいです。「このおうち、 いごこちいいから きっと ひとふゆ ぐっすり ねむれるわ。」「そんなら おきたら そのぶん げっそり、 はるには たべもの ないってか。」チミーは なんでも きにしがち。
[#挿絵]
きのみの やぶへ やってきた チミーと グディでしたが、 見てみると そこには もう ほかの りすたちが いまして。
チミーは うわぎを ぬいで こえだに ひっかけ、 はなれたところで おとなしく ふたりだけで うごくことにします。
[#挿絵]
まいにち あちこち めぐって きのみを めいっぱい ひろいました。 ふくろに つめてはこんで、 すを つくった きのそばに あちこちある ねもとの あなぽこに つめたのです。
[#挿絵]
あなぽこが まんぱいになると、 こんどは きの たかいところに ある うろあなへと ふくろを あけはじめました。 もとは きつつきの もので、 きのみは ころりん ころころと なかへ おちていきます。
「いったい どうやって あとから とりだすの? ちょきんばこみたい!」と グディ。
「はるに なるまでには げっそり やせてるって、 なあ。」と あなを のぞく つまさきチミー。
[#挿絵]
こうして たくさん あつまりましたが ―― そのひけつは なくさなかったからなのです! ふつう りすは きのみを じめんに うめるから、 はんぶんは なくしてしまうもの。 だって ありかが おぼえられなくって。
もりで いちばんの わすれんぼの りすは、 シルヴァテルと いいました。 ほってるそばから わすれるから、 あとで ほりかえすと じぶんのでない きのみが でてきたりして。 それで けんかに なったり。 すると みんなして ほりだすから ―― もりじゅうが おおさわぎ!
[#挿絵]
そんなとき おりあしく ちょうど ことりの むれが とんできていて、 やぶから やぶへ あおむしや くもを さがしまわっていました。 いろんな とりが いて、 それぞれ べつべつの うたを さえずるのです。
はじめの…