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まちねずジョニーのはなし
まちねずジョニーのはなし |
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作品ID | 54923 |
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原題 | THE TALE OF JOHNNY TOWN-MOUSE |
著者 | ポター ビアトリクス Ⓦ |
翻訳者 | 大久保 ゆう Ⓦ |
文字遣い | 新字新仮名 |
入力者 | 大久保ゆう |
校正者 | |
公開 / 更新 | 2012-04-09 / 2022-04-21 |
長さの目安 | 約 11 ページ(500字/頁で計算) |
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[#挿絵]
[#挿絵]
[#挿絵]
[#挿絵]
まちねずジョニーが うまれたのは とだなのなかでした。 かごいりチミーの うまれたところは にわでした。 かごいりチミーは いなかの こねずみでしたが、 あるとき てちがいで あみかごに いれられ まちまで いってしまって。 にわの もちぬしが しゅうに 1ど やさいを まちへ はこんでもらっていまして、 それで いつも おおきな あみかごに つめるのです。
[#挿絵]
そのひとが にわの いりぐちのわきに かごを おいておくと、 はこびやさんが とおりすがりに ひろっていく というわけで。 そこへ かごいりチミーが かごにあいた あなから なかへ はいりこみ、 とりあえず おまめを たべますと ―― かごいりチミー ぐっすり ねいってしまいまして。
[#挿絵]
びくっとして めを さますと、 かごが ちょうど はこびやさんの にぐるまに つまれるところで。 そのあと いきなり がたっと ゆれて、 ぱかぱかという うまの ひづめの おと。 ほかにも にもつが なげいれられて。 ながい ながい みちのりを ―― がたん ―― ごとん ―― がたごとっ! かごいりチミーは ごったがえす やさいのなかで ふるえていました。
[#挿絵]
やがて にぐるまは 1けんの いえのわきで とまり、 ここで かごは おろされ はこびこまれ、 したに おかれます。 そのいえの すいじがかりは はこびやさんに はくどうの コインを 1まい わたしました。 うらぐちが ばたんと しめられると にぐるまは ごとごと はなれていきます。 けれども しずかに なるわけでは なく、 まるで なんびゃくもの にぐるまが とっているみたい といいますか。 いぬは ほえますし、 おとこのこは あつまって とおりで くちぶえを ふきますし、 すいじがかりも おおわらいして、 すみこみの おてつだいだって かいだんを かけのぼったり おりたり、 それから カナリアまで ぴーぴー ゆげを ふくみたいに うたうのです。
[#挿絵]
かごいりチミーは これまで いなかの にわでしか くらしたことが なかったので、 もう しぬほど こわくって。 するといきなり すいじがかりが かごを あけて やさいを とりだしていきます。 そこを ぴょーんと でていく こわがりの かごいりチミー。
[#挿絵]
とびあがった すいじがかりは いすに しりもち かなきりごえ。「ねずみ! ねずみよ! ねこを よんで! ひかきぼうを ちょうだい、 セアラ!」 かごいりチミーが ひかきぼうを てにした セアラなんて まつわけ ありません。 すそいたの よこを はしりに はしって、 そのうち ちいさな あなのところまで きたので、 そこへ ぴゅっと すべりこみま…