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ババールとサンタのおじさん
ババールとサンタのおじさん |
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作品ID | 54927 |
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原題 | BABAR ET LE PERE NOEL |
著者 | ブリュノフ ジャン・ド Ⓦ |
翻訳者 | 大久保 ゆう Ⓦ |
文字遣い | 新字新仮名 |
入力者 | 大久保ゆう |
校正者 | |
公開 / 更新 | 2012-04-21 / 2022-04-21 |
長さの目安 | 約 21 ページ(500字/頁で計算) |
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[#挿絵]
[#挿絵]
「なあ、 みんな!」
あるひ こざるの ゼフィルが、 アルチュール、 ポム、 フロール、 アレクサンドルに よびかけます。
「きいてくれ、 さっき すげえ はなしを みみに したんだ。 にんげんの うちには、 まいとし クリスマスイヴの よるに すっげえ やさしい おじさん、 それも もじゃもじゃ しろひげで あかいふくに とんがりぼうしの やつが、 そらを とんでくるらしいぜ。 どっさり おもちゃを はこんできて、 そいつを こどもに くれるんだとさ。 そいつ サンタの おじさんって いうんだってな。 なかなか すがたが おがめないみたいで、 こっちが ねむってるあいだに えんとつから しのびこむとか。 あくるあさ くつしたのなかに おもちゃが あるってんで こどもたちも きたんだなって わかるらしい。 どうだ、 おれたちも そいつに ひとつ てがみを かいてみないか。 ぞうの くに、 おれらんとこにも きてくれってさ。」
[#挿絵]
アレクサンドルが いいます。「いいね、 やろう やろう!」
「でも おてがみ なんて かけばいいかな?」と いうのは アルチュール。 そこで ポムが ひとこと。
「そりゃ サンタに かくとなれば ぼくたちの ほしいものじゃ ないの。」
「じゃあ じっくり かんがえて かかなきゃ。」
さいごに フロールが そう いうと、 みんなは くちを つぐんで しばらく かんがえごと。
ゼフィルが まっさきに おもいつくのは やっぱり じてんしゃ。 フロールが もらえて うれしいのは おにんぎょうさんで、 アレクサンドルは むしとりあみが ほしいし、 ポムは ふくろいっぱいの あめと くまの ぬいぐるみ。 アルチュールと きたら てつどうもけいを ゆめみる しまつ。
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それぞれ ほしいものも きまると、 いちばん じの うまい ゼフィルが ふでを とることに なりまして。 みんな それを そばで まじまじ。 アルチュールが わすれず ふうとうに きってを はりまして。 そして ひとりずつ じぶんの なまえを かきおわると、 うきうきと ぜんいんで てがみを ポストへ いれにいきます。
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[#挿絵]
それからというもの 5にんは あさに なるたび ゆうびんやさんが くるのを まちかまえまして。 かげが みえると いそいで むかえにゆくのですが、 ああ ゆうびんやさんが いつも どれだけ さがしても サンタさんからの へんじは きていません。 あるひ ババールが そんな こどもたちに きづきまして。
「おや どうして こどもたちが。 おもてで すっかり しょげている。」
[#挿絵]
すぐさま ババールは こえを かけます。
「ふむ、 こどもたち これは なにごとかね?」
[#挿絵]
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