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ベートーヴェンの生涯
ベートーヴェンのしょうがい
作品ID54934
副題05 ベートーヴェンの思想断片
05 ベートーヴェンのしそうだんぺん
著者ロラン ロマン
翻訳者片山 敏彦
文字遣い新字新仮名
底本 「ベートーヴェンの生涯」 岩波文庫、岩波書店
1938(昭和13)年11月15日
入力者門田裕志
校正者仙酔ゑびす
公開 / 更新2012-05-16 / 2014-09-16
長さの目安約 7 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

音楽について

 Il n'y a pas de r[#挿絵]gle q[#挿絵]one ne peut blesser[#挿絵]cause deSch[#挿絵]ner
「さらに美しい」ためならば、破り得ぬ(芸術的)規則は一つもない。
原注――最後の「さらに美しい」Sch[#挿絵]ner だけがドイツ語で書かれ、他はフランス語で書かれている。

      [#挿絵]

 音楽は人々の精神から炎を打ち出さなければならない。

      [#挿絵]

 音楽は、一切の智慧・一切の哲学よりもさらに高い啓示である。……私の音楽の意味をつかみ得た人は、他の人々がひきずっているあらゆる悲惨から脱却するに相違ない。
(一八一〇年、ベッティーナに)

      [#挿絵]

 神性へ近づいて、その輝きを人類の上に拡げる仕事以上に美しいことは何もない。

      [#挿絵]

 なぜ私は作曲するか?――〔私は名声のために作曲しようとは考えなかった〕私が心の中に持っているものが外へ出なければならないのだ。私が作曲するのはそのためである。
(ゲーリングに)

      [#挿絵]

「霊」が私に語りかけて、それが私に口授しているときに、愚にもつかぬヴァイオリンのことを私が考えるなぞと君は思っているのですか?
訳者注――提琴家シュッパンツィッヒが「ベートーヴェンの作るヴァイオリン曲は 〔tonsch[#挿絵]n いい音色に弾きにくい」と不平をこぼしたのに対するベートーヴェンの答えである。ロマン・ロラン著『復活の歌』(一九三八年)第一巻・一八〇頁参照〕

      [#挿絵]

 私のいつもの作曲の仕方によると、たとえ器楽のための作曲のときでも、常に全体を眼前に据えつけて作曲する。
(詩人トライチュケに)

      [#挿絵]

 ピアノを用いないで作曲することが大切であります……人が望みまた感じていることがらを表現し得る能力は――こんな表現の要求は高貴な天性の人々の本質的な要求なのですが――少しずつ成長するものです。
(オーストリアのルードルフ大公に)

      [#挿絵]

 描写 die Beschreibung eines Bildes は絵画に属することである。この点では詩作さえも、音楽に比べていっそうしあわせだといえるであろう。詩の領域は描写という点では音楽の領域ほどに制約せられていない。その代わり音楽は他のさまざまな領土の中までも入り込んで遠く拡がっている。人は音楽の王国へ容易には到達できない。
(ヴィルヘルム・ゲルハルトに)

      [#挿絵]

 自由と進歩とが芸術における目標であることは生活全体におけると同様であります。われわれが昔の巨匠たちほどに確乎としてはいないにしても、しかし少なくとも文明の洗練は私たちの視野をはるかにひろく押し拡…

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