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泣けよ恋人
なけよこいびと
著者
翻訳者上田 敏
文字遣い旧字旧仮名
底本 「上田敏全訳詩集」 岩波文庫、岩波書店
1962(昭和37)年12月16日
初出「家庭文芸 創刊号」1907(明治40)年1月
入力者川山隆
校正者成宮佐知子
公開 / 更新2012-11-29 / 2014-09-16
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)
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本文より


泣けよ、戀人、神の身の「愛」の君だに、
愁歎のいはれを識りて泣き入りぬ。
「愛」は悲み堪へ難く、いらつめたちの
雙眼に溢るる涙、眺めたり。

忌々しき「死」の大君は貴なる人も
憚らず、さすがに徳を避けたれど、
なべての人が、たをやめの譽とふもの、
めぐしくも、毀ちたるこそ無殘なれ。

聞けよ、諸人、「愛」は今、このたをやめを
褒めたたふ。見ようつそ身に現れて、
眠れる如きかんばせの上にあらずや。

折ふしは天頂高くうちあふぎ、
かくて貴なる魂のゆくへや求むる、
塵の世の濁に染まぬたましひの。



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