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焦燥
しょうそう |
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作品ID | 55475 |
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著者 | 富永 太郎 Ⓦ |
文字遣い | 新字旧仮名 |
底本 |
「富永太郎詩集」 現代詩文庫、思潮社 1975(昭和50)年7月10日 |
入力者 | 村松洋一 |
校正者 | 川山隆 |
公開 / 更新 | 2014-04-01 / 2014-09-16 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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母親は煎薬を煎じに行つた
枯れた葦の葉が短かいので。
ひかりが掛布の皺を打つたとき
寝台はあまりに金の唸きであつた
寝台は
いきれたつ犬の巣箱の罪をのり超え
大空の堅い眼の下に
幅びろの青葉をあつめ
棄てられた藁の熱を吸ひ
たちのぼる巷の中に
青ぐろい額の上に
むらがる蠅のうなりの中に
寝台はのど渇き
求めたのに求めたのに
枯れた葦の葉が短かいので
母親は煎薬を煎じに行つた。