えあ草紙・青空図書館 - 作品カード

作品カード検索("探偵小説"、"魯山人 雑煮"…)

楽天Kobo表紙検索

無題
むだい
作品ID55491
著者富永 太郎
文字遣い新字旧仮名
底本 「富永太郎詩集」 現代詩文庫、思潮社
1975(昭和50)年7月10日
入力者村松洋一
校正者川山隆
公開 / 更新2014-04-19 / 2014-09-16
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

広告

えあ草紙で読む
▲ PC/スマホ/タブレット対応の無料縦書きリーダーです ▲

find 朗読を検索

本の感想を書き込もう web本棚サービスブクログ作品レビュー

find Kindle 楽天Kobo Playブックス

青空文庫の図書カードを開く

find えあ草紙・青空図書館に戻る

広告

本文より


月青く人影なきこの深夜
家々の閨をかいま見つゝ
白き巷を疾くよぎる侏儒の影あり

愚かなる状して黒々と立てる屋根の下に
臥所ありて人はいぎたなく眠れり
家々はかく遠く連なりたれど
眠の罪たるを知るもの絶えてあらず

月も今宵その青き光を恥ぢず
快楽を欲する人間の流す
いつはりの涙に媚ぶと見えたり

かゝる安逸の領ずる夜なれば
あらんかぎりの男女の肌を見んとて
魔性の侏儒は心たのしみ
おもはゆげもなく軒より軒へ
白き巷をよぎりゆくなり



えあ草紙で読む
find えあ草紙・青空図書館に戻る

© 2024 Sato Kazuhiko