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写真(北満の土産)その一
しゃしん(ほくまんのみやげ)そのいち
作品ID55561
著者今野 大力
文字遣い新字新仮名
底本 「今野大力作品集」 新日本出版社
1995(平成7)年6月30日
入力者坂本真一
校正者雪森
公開 / 更新2015-03-08 / 2015-02-17
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


どれもこれも貧しくけだもののように虐げられふけた表情をもった北満の農民の
ズラリと並んだ十人の子供達
五つ位の女の子はハデなよごれた花模様のズボンと上衣をきて
支那曲芸に出てくるような格巧
八つ位の女の子は労働者のオーバオールのようなやつを着て両口尻にカサを出しキリッと睨み、
七つばかりの男の子は
困惑したオジサンのようにふけてズボンの紐を
ダラリと下げまゆをひそめて立っている
六つ位の男の子は一寸快活そうで
安物の腕輪をはめ 前髪で額をうずめ
となりの同じ位の男の子は
胸をハダけてうぶな青年のようにまぶしがっている
前かけのような支那風の模様あるものをつけた子は四つ位、
この娘はきれいなおよめさんを見ているような表情たっぷり
颯爽とした青年のように裾の長い着物をきて
細い横目にキラっとにらむ八つばかりの少年と
も一人の正面からジーッと視線をそそいで
こっちを見ている若き赤軍の兵士のような少年
次は眼を病んでいるのか
はれっぽったいまぶた やせた腕 ほころびた上衣
煙ったい小屋でいぶし出されたような五つほどの子
最後に
三つほどのハダシで下衣なしで
新らしい上衣だけを急いで引っかけて
この列に参加して少さい異物をまるだしにしている児、



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