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父母達の家
ふぼたちのいえ |
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作品ID | 55574 |
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著者 | 今野 大力 Ⓦ |
文字遣い | 新字新仮名 |
底本 |
「今野大力作品集」 新日本出版社 1995(平成7)年6月30日 |
入力者 | 坂本真一 |
校正者 | 雪森 |
公開 / 更新 | 2015-06-18 / 2015-03-08 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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住み古した父母達の家に
父母達の顔にきざんだ皺をかぞえることなく
老いたる父母達の苦難な生活の有様を覗い見ることなく
俺の健康な顔を見せ
ガッシリとしてきた手を差のべることなく
街の中に
幾百万の人民の中の一人となり
父母達の家を
数々の家々とひとしく見過して
立去るおもい、
逢わねば心細くもあり
語らねば物がなしくもある
わが子をはげまし
わが子を階級戦の熾烈なさ中へ送る意気込みはなくとも、
わが子の真剣な働きを信じて
わが子の無事を祈り
わが子の仕事の成功をねがえる父母達
俺は父母達のすこやかであることを
そして父母達の存生の間に
俺達の勝利をかちとることを
切に切に希望すればこそ、
一歩 一歩
父母達の家を遠ざかってゆくとき
一足毎に力もて大地を踏みしめ
明日の準備に
勇躍して部署につくのだ