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地震なまず
じしんなまず
作品ID55796
著者武者 金吉
文字遣い新字新仮名
底本 「地震なまず」 明石書店
1995(平成7)年12月20日
入力者しだひろし
校正者良本典代
公開 / 更新2019-11-07 / 2019-10-28
長さの目安約 200 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

[#挿絵]
昭和五年(1930年)
伊豆地震調査当時の著者。後ろの倒潰した建物は箱根塔ヶ島離宮、屋根を貫いて柱が突き出している。

[#改ページ]
[#挿絵]
大正十二年(一九二三年)
関東大震災
横浜花園橋附近の亀裂

[#挿絵]
大正十二年(一九二三年)
関東大震災
浅草十二階

[#挿絵]
大正十二年(一九二三年)
関東大震災
被服廠の惨状

[#改ページ]
[#挿絵]
明治二十七年六月二十日東京地震の状況
東京大地震湯屋破損の図

[#改ページ]
[#挿絵]
安政二年(一八五五年)
江戸地震
吉原堤から飛び出した火の玉

[#挿絵]
一九一一年十一月十六日
中欧の地震
ドイツのエビンゲンで
観察された火の玉

[#挿絵]
昭和五年(一九三〇年)
伊豆地震
静岡県賀茂郡稲生沢村から見た地震の発光

[#改丁]

まえがき



 この本の著者は、今村明恒、寺田寅彦両先生ご指導のもとに、多年日本地震史の研究に従事して来た。この本に書いてあることは、地震史研究の副産物とも言うべきものである。すなわち、昔の地震の記録におりおり見い出される記事から暗示を得て、地震と深い関係がありそうに見えて、しかも今まで学者が手をつけなかった特殊の自然現象について、少しばかり調べて見た結果が通俗的に記されてある。
 この本に書いてある自然現象は、いずれも見かけ上奇怪きわまるもので、したがって正統派の地震学者からは、あるいは毛ぎらいされ、あるいは余り関心をもたれない性質のものである。しかし、ある人が言ったように、「自然現象は自然の言葉である。自然の言葉でわれわれの研究に価しないものは一つもない」はずである。
 著者がこれらの現象を研究対象として取り上げたのは、決して物好きからではない。またある人によって非難されたように一時の思いつきからでもない。いまだ解読されない自然の言葉のほんの一部でも明らかにしたいと言う念願からであったことを、公言してはばからない。
 しかし、著者は前に記したごとく地震史の一研究家であって、物理学者でも生物学者でもない。したがって著者の調査研究がはなはだ不完全不徹底であることは、著者自身がもっともよく認めている。
 要するに、著者は荒地を開墾して種子を蒔いたところである。その種子は、将来すぐれた科学者によって育成されるならば、かならず立派な実を結ぶであろう。
「地震雑筆」の中に収めた五篇の随筆は、「今村明恒先生素描」をのぞき、一度雑誌に発表したものであるが、この本に収めるに当たって全部書き改めた。記事の重複をさけるため、またある場合には紙数に制限されて思うように書けなかったためである。
 この本をまとめるに当たって、著者は出来る限り平易に、また出来る限り肩のこらぬようにと心がけたが、はたしてその意図がどれほど実現されたか、心もとなく思うのである。

昭和三…

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