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アリスの地底めぐり
アリスのちていめぐり
作品ID55880
原題ALICE'S ADVENTURES UNDER GROUND
著者キャロル ルイス
翻訳者大久保 ゆう
文字遣い新字新仮名
入力者大久保ゆう
校正者
公開 / 更新2013-02-02 / 2022-04-21
長さの目安約 74 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

[#挿絵]
[#挿絵]

ありふれた
クリスマスのおくりもの
かわいい子へ
ある夏の日の思い出に
[#改ページ]

ひとつめ


[#挿絵]
 アリスはあっきあきしてきた、池のほとり、お姉さまのそばですわってるのも、何もしないでいるのも――ちらちらお姉さまの読んでる本をのぞいてみても、さし絵もかけ合いもないから、本のねうちはどこ、とアリスは思う、さし絵もかけ合いもないなんて、って。だから物思いにふけるばっかり(といってもそれなり、だって日ざしぽかぽかだとぼんやりねむくなってくるし)、デイジーの花輪作りはわざわざ立ち上がって花をつむほど楽しいものなのか――そこへふと赤い目の白ウサギが1羽そばをかけぬける。
 あまり目を引くようなところもないから、アリスにしてもさほどとんでもないとも感じないまま、聞こえてくるウサギのひとりごと。「おおお、ちこくでおじゃる!」(あとになって思い返すと、ここでふしぎがってしかるべきという気もするけど、そのときはみんな自然きわまると思えてね)その次にウサギがチョッキのぽっけから時計を取り出しまじまじしてからかけ足したから、アリスもとびあがる、だってむねがはっとした、これまでそんなウサギ見たことない、チョッキにぽっけがあったり、時計を取り出したり、そこで気になる気になる、野原をかけて後を追っていくと、ちょうど目の前でそいつはかき根の下、大きなウサギ穴にぴょんと入って。たちまち飛びこみアリスは後を追う、またもどってこられるかなんて、ちっとも考えもせずに。
 そのウサギ穴はまっすぐ続いて、まるでどこかトンネルみたい、そのあといきなり下り坂、いきなりすぎてふみとどまろうと思うまもなく、気づいたら深いふきぬけみたいなところに落っこちていて。穴がすごく深いのか、落ちるのがすごくゆるやかなのか、どうにもひまがありすぎて、落ちるあいだにあたりは見られる、次に何が起こるのかなって思いもできる。まず下を見てみると、ゆく先はわかるけれども、暗すぎて何がなんだか。そのあと穴のぐるりを見ると、目にとまるのはぎっしりならんだ戸だなに本だな。あちらこちらに画びょうでとまった地図に絵。通りがかりにたなのひとつからびんを取ってみると、〈オレンジ・マーマレード〉とはられてあるのに、とてもがっかり、中身はから。とはいえ、びんを放るのはしのびない、だって下のだれかが死ぬといけないから、うまく戸だなのひとつへ通りすがりに置いておいた。
「ふふ!」とアリスは考えごと。「こうやって落ちておけば、もう階段転げ落ちるのなんてわけなくてよ! おうちに帰ったら、あたくしみんなの英雄ね! ええ、お屋敷の屋根から落ちたって、何も声をあげたりしないわ!」(そりゃあまあそうだよね。)
 ひゅうん、うん、うん。いつになったら落ちきるのかな。「これまでのところで、どれくらい落ちたのかしら。」と声に出…

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