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![]() ジンジャーアンドピクルスのはなし |
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作品ID | 55890 |
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原題 | THE TALE OF GINGER AND PICKLES |
著者 | ポター ビアトリクス Ⓦ |
翻訳者 | 大久保 ゆう Ⓦ |
文字遣い | 新字新仮名 |
入力者 | 大久保ゆう |
校正者 | |
公開 / 更新 | 2013-02-02 / 2022-04-21 |
長さの目安 | 約 9 ページ(500字/頁で計算) |
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[#挿絵]
[#挿絵]
[#挿絵]
[#挿絵]
「ヤマネに描いてもかまわんよ」として下さった
(3年寝たきりでも文句ひとつない)
ジョン・テイラーおじいさんに心からささげます
[#挿絵]
[#挿絵]
むかしむかし あるむらに おみせが 1けん ありました。 まどのうえに かかげられた なまえは 〈ジンジャー&ピクルス〉。
それは ちっちゃな ちいさな おみせで、 ちょうど おにんぎょうに ぴったりの おおきさ ―― ですから リュシンダと かぽうぎジェーンは いつも 〈ジンジャー&ピクルス〉で こまごましたものを かいこんでいました。
[#挿絵]
なかの カウンターは ウサギの とどく たかさ。 ジンジャー&ピクルスでは あかみずたまの ハンカチが どうか1まいと せいどうか3まいで うられています。
ほかにも おさとうや かぎタバコ あまぐつなども あつかっていて。
なんと こんなに ちいさい おみせなのに、 ほとんどなんでもが かえるのです ―― あわてて ほしくなるようなものは ないことも ありますけど ―― たとえば くつひもとか ヘアピンとか マトンチョップとか。
ジンジャー&ピクルスとは おみせを いとなんでいる ふたりの おなまえです。
ジンジャーは ちゃトラの オスねこで、 ピクルスは テリアいぬ。
ピクルスは いつも あなウサギたちに ちょっと こわがられていました。
[#挿絵]
おみせの ひいきには ハツカネズミも いたのですが ―― そのこたちだけ ジンジャーを どうも こわがっていて。
というわけで ハツカネズミの あいては たいてい ピクルスに まかされます。 いわく よだれが でてしまうから って。
「がまんできねえんだ。 こつづみ かかえて ドアから でていく やつらを みるだけで もう。」
[#挿絵]
「わたしも クマネズミあいてだと おなじ きもちに。」と ピクルス。「でもまあ うちの おきゃくを じぶんで くうなんて あっちゃいけない。 ここへは ちかよらず ぐいぐいタビサのところへ いってしまう。」
「むしろ どこにも いけなくなるんじゃねえの。」と ジンジャーの へんじは おもくるしい。
(ぐいぐいタビサは むらに もうひとつだけある おみせの あるじ。 そっちは ツケが きかないのです。)
[#挿絵]
ジンジャー&ピクルスでは どこまでも ツケが ききました。
そもそも 〈ツケ〉というのは こういうこと ―― おきゃくさんが せっけん ひとつを かったとして、 そのとき おきゃくさんが さいふを とりだして おしはらいを するかわりに、 また こんど しはらうよ と いっておく。
すると ピクルスは ふかぶか おじぎして、「いいですとも おくさん。」 そして ちょうぼに そのこと…