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妖人ゴング
ようじんゴング
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「黄金豹/妖人ゴング」 江戸川乱歩推理文庫、講談社
1988(昭和63)年4月8日
初出「少年」光文社、1957(昭和32)年1月号~12月号
入力者sogo
校正者大久保ゆう
公開 / 更新2017-12-15 / 2017-12-10
長さの目安約 155 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

おねえさま
 空には一点の雲もなく、さんさんとかがやく太陽に照らされて、ひろい原っぱからは、ゆらゆらと、かげろうがたちのぼっていました。
 その原っぱのまんなかに、十二―三人の小学校五―六年生から、中学一―二年ぐらいの少年たちが集まっていました。その中にたったひとり、女の子がまじっていたのです。女の子といっても、もう高等学校を出た美しいおじょうさんです。えびちゃ色のワンピースを着て、にこにこ笑っています。少年たちの先生にしては、まだ若すぎますし、お友だちにしては、大きすぎるのです。
 そのおじょうさんのそばに、少年探偵団の団長の小林君が立っていました。そして、みんなに、なにかしゃべっているのです。
「きょう、団員諸君に、ここへ集まってもらったのは、ぼくのおねえさまを、しょうかいするためだよ。」
 そこにいる少年たちは、みんな少年探偵団の団員だったのです。少年たちはぐるっと輪になって、美しいおじょうさんと、小林団長をとりかこみ、好奇心に目をかがやかせながら、団長の話を聞いています。
「おねえさまといっても、ほんとうのおねえさまじゃないよ。明智先生の新しいお弟子なんだよ。つまり、えーと、少女助手だよ。」
 そういって、小林君は、ちょっと、顔を赤くして頭をかくまねをしました。
「ぼくは先生の少年助手だろう。だから、マユミさんは少女助手といってもいいだろう? 花崎マユミさんって、いうんだよ。」
 すると美しいおじょうさんがニッコリ笑って、みんなに、ちょっと頭をさげてあいさつしました。
「マユミさんは明智先生のめいなんだよ。先生のおくさんのねえさんの子どもなんだよ……。」
 マユミさんは、それをひきとって、
「なんだか、いいにくそうね。わたしが説明するわ。明智先生は、わたしのおじさまなのよ。ですから、わたし、小さいときから探偵がすきだったのです。それで、こんど高等学校を卒業したので、大学へはいるのをやめて、先生の助手にしていただいたの。おとうさまやおかあさまも賛成してくださったわ。そういうわけで、わたし、小林君のおねえさまみたいになったの。みなさんもよろしくね。」
「じゃあ、ぼくたちにも、おねえさまだねえ!」
 とんきょうな声で、そんなことをさけんだのは、野呂一平君でした。野呂君は小学校六年生ですが、からだの大きさは四年生ぐらいで力も弱く、探偵団でいちばんの、おくびょうものでした。あだ名はノロちゃんといいますが、けっしてノロマではなく、なかなかすばしっこいのです。小林団長をひじょうに尊敬しているので、むりにたのんで団員にしてもらったのです。あいきょうものですから、みんなにもすかれていました。
「ええ、そうよ。みなさんのおねえさまになってもいいわ。」
 マユミさんが、そう答えたので、少年たちのあいだに「ワーッ。」という、よろこびの声がおこりました。
「わたしは、探偵のす…

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