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探偵少年
たんていしょうねん
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「おれは二十面相だ/妖星人R」 江戸川乱歩推理文庫、講談社
1988(昭和63)年9月8日
初出「読売新聞」1955(昭和30)年9月12日~12月26日
入力者sogo
校正者大久保ゆう
公開 / 更新2018-08-12 / 2018-07-27
長さの目安約 89 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

あやしい人造人間
 ある夕方、千代田区の大きなやしきばかりのさびしい町を、ふたりの学生服の少年が、歩いていました。大きいほうの十四―五歳の少年は、名探偵明智小五郎の少年助手として、また、少年探偵団の団長として、よく知られている小林芳雄君でした。もうひとりの少年は、少年探偵団の団員で、小学校六年生の野呂一平君という、おどけものの、おもしろい少年です。
「なにか、すばらしい事件がおこらないかなあ。怪人二十面相も、ひさしくあらわれないし、ぼく、このうでが鳴ってしかたがないよ。」
 ノロちゃんは、うでをさすりながら、いいました。ノロちゃんというのは、野呂一平君の愛称なのです。
「バカだなあ。世間の人が、こわがって、さわぐのが、きみはすきなのかい。」
 小林団長にたしなめられて、ノロちゃんはペロッと舌を出して、頭をかきました。
 すると、そのとき、むこうの町かどから、ヒョイと、ふしぎなものがあらわれました。ロボットです。鉄でできた、ぶきみなかたちの人造人間です。そいつが、かくばった頭をふりながら、かくばった足で、ギリギリと、歯車の音をさせながら、むこうのほうへ歩いていくのです。
 おもいもよらぬところに、人造人間があらわれたのを見ると、ふたりはギョッとして、たちすくんでしまいました。
 小林少年がノロちゃんのうでを、グッとつかみました。ノロちゃんが、いきなり逃げだそうとしたからです。
「きみはうでが鳴ってしかたがないと、いったじゃないか。あれはうそなの?」
 小林君は、ニッコリ笑って、ノロちゃんにいってきかせました。
「あれはね、銀座なんかを歩いているサンドイッチマンだよ。ほら、いつか銀座で、あいつに広告ビラをもらったじゃないか。ロボットのサンドイッチマンだよ。あれは鉄でなく木でできてるんだよ。」
「あっ、そうか。なあんだ。板ばりのロボットか。」
「だが、へんだねえ。サンドイッチマンが、こんな大きなやしきばかりの町に、すんでいるんだろうか。それに、あんな姿のままで、こんなにとおくまで、やってくるのは、おかしいね。」
 小林君がいいますと、ノロちゃんも、ちょうしをあわせて、
「だから、ぼく、あやしいとおもったんだよ。尾行してみようか。」
 ふたりの少年は、あやしい人造人間を尾行しました。少年探偵団長と、その団員ですから、尾行にはなれています。ふたりはリスのように、ものかげからものかげにと、身をかくしながら、どこまでも人造人間のあとをつけました。
 しばらくいきますと、ふるいレンガべいの門に、からくさもようの鉄のとびらのしまった、大きなうちの前に出ました。
 人造人間は、その門の前に立ちどまると、かくばった頭を、クルクルまわして、あたりをながめてから、鉄のとびらを開いて、門のなかへはいっていきます。
「おやっ、ますます、あやしい。あいつが、こんな大きなうちに住んでいるはず…

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