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妖星人R
ようせいじんアール
作品ID56691
著者江戸川 乱歩
文字遣い新字新仮名
底本 「おれは二十面相だ/妖星人R」 江戸川乱歩推理文庫、講談社
1988(昭和63)年9月8日
初出「少年」光文社、1961(昭和36)年1月~3月、5月~12月
入力者sogo
校正者大久保ゆう
公開 / 更新2019-07-28 / 2019-06-28
長さの目安約 153 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

Rすい星
 はじめて、そのふしぎなすい星を発見したのは、イギリスの天文学者でした。そのすい星はいままでに知られている、どのすい星ともちがった、奇怪なすい星でした。
 すい星といえば、天空のまい子のような星で、うしろに、ほうきのようにひらいた、白い光の尾をひいているのがふつうですが、こんどのすい星は、その光の尾が、ネジのように、グルグルまわっているのです。光のネジは、さきのほうほどふとい輪になって、それがゆっくり、まわっているのです。
 発見されるとすぐ、その望遠鏡写真が、世界じゅうの新聞にのり、大さわぎになりました。各国の天文学者は、大望遠鏡にしがみついて、そのすい星をしらべました。
 それは、ふつうのすい星とは、まったくちがった、きみょうな星でした。すい星がなにでできているかは、まだよくわからないのですが、ふつうは、小さな粒があつまって、光のかたまりとなったものだといわれています。
 しかし、こんどのは、粒のあつまりでなくって、ひとつの小さな星が、うしろにネジネジの光の尾をひいて、とんでいるのです。
 このふしぎな星は、形がすい星ににているので、Rすい星と名づけられました。さいしょ発見した学者の名まえのかしら文字をとったものです。
 しばらく日がたつと、Rすい星は肉眼でも見えるほどに、ちかづいてきました。ネジのような光の尾が、グルグルまわっているのも見えるのです。
 夜になると、東京でも、ニューヨークでも、ロンドンでも、パリでも、モスクワでも、世界じゅうの人が、空をあおいで、この気味のわるいすい星をながめるのでした。そして、しんぱいそうに、ボソボソと、ささやきあうのでした。
 そのうちに、おそろしいうわさが、ひろがってきました。
 Rすい星は地球にむかって進んでいる。地球の軌道にぶっつかるかもしれない。大しょうとつをおこして、地球は分解してしまうかもしれない。そういうことを、どこかの国の天文学者がいいだすと、つぎつぎと、それに同意する天文学者がでてきたのです。
 各国の天文学者は、むちゅうになってRすい星の軌道を計算しました。そして、地球としょうとつする、しないと、二つの説にわかれて、大論争がつづきました。
 全世界の人びとは、ふるえあがってしまいました。もし大しょうとつがおこれば、地球そのものが、くだけちってしまうのです。原子力戦争どころのさわぎではありません。原子力戦争ならば、ふかく地下に穴をほって、たすかるくふうもありますが、すい星の大しょうとつには、なんの方法もないのです。地球は大爆発をおこしこなごなになって、人間も、動物も、植物も、いっしゅんにとけてなくなってしまうのです。
 地球にしょうとつするか、しないかという天文学者の論争は、ますますはげしくなってきました。天文学者ばかりではありません。人がふたりよれば、その議論がはじまるのです。そして、世…

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