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ぼろぼろな駝鳥
ぼろぼろなだちょう |
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作品ID | 56694 |
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著者 | 高村 光太郎 Ⓦ |
文字遣い | 新字旧仮名 |
底本 |
「近代詩の鑑賞」 さ・え・ら書房 1958(昭和33)年3月20日 |
入力者 | 倉本理恵 |
校正者 | Juki |
公開 / 更新 | 2015-01-30 / 2014-12-27 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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何が面白くて駝鳥を飼うのだ。
動物園の四坪半のぬかるみの中では、
脚が大股過ぎるぢゃないか。
頚があんまり長過ぎるぢゃないか。
雪の降る国にこれでは羽がぼろぼろ過ぎるぢゃないか。
腹がへるから堅パンも喰ふだらうが、
駝鳥の眼は遠くばかり見てゐるぢゃないか。
身も世もない様に燃えてゐるぢゃないか。
瑠璃色の風が今にも吹いて来るのを待ちかまへてゐるぢゃないか。
あの小さな素朴な頭が無辺大の夢で逆まいてゐるぢゃないか。
これはもう駝鳥ぢゃないぢゃないか。
人間よ、
もう止せ、こんな事は。