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台湾の民芸について
たいわんのみんげいについて
著者柳 宗悦
文字遣い新字新仮名
底本 「柳宗悦 民藝紀行」 岩波文庫、岩波書店
1986(昭和61)年10月16日
初出上「民俗台湾 第二十三号」1943(昭和18)年5月<br>下「民俗台湾 第二十四号」1943(昭和18)年6月
入力者門田裕志
校正者砂場清隆
公開 / 更新2020-04-25 / 2020-03-28
長さの目安約 23 ページ(500字/頁で計算)
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本文より




○林本源邸
 とにかくえらい力だね。仮りにこんな家にわれわれに住めといわれても、とても住めないね。これを住みこなすのは大変な力だ。生活の中にこれだけの夢を現わすことはたいしたものだ。
○林本源邸所蔵執事牌の字
(特にそのうちの数枚を指して)これなぞはことに面白いね。これは制限されたスペースの中に所定の字数を填めなければならないという制約から生れた美しさだ。工藝ではしばしば不自由が美を自由にさせる。
○竹行李(台北市内所見)
 隅の籐の編み方は旨いものだ。これなら隅がいたむことはないだろう。実用が招いた美しさだ。革がなくなってかえってよくなったね。
○菊元百貨店売品牛角製煙草セット
(黄牛角製煙草筒をとり上げ)この筒だけなら見所がある。西洋ではこれで出来たコップがあるが、光線が透って中の液が実に美しく見える。台湾のように暑くて、飲物がほしい土地では、この材料を何とか生かすといいね。
○穿瓦衫(板橋及び士林にて)
 なかなか味の好いものだ。これは始めてのものだ。如何にも建築を建物らしくするやり方だなあ。(士林渡口の籾庫を見て立石鉄臣君を顧みながら)これは絵になるね。
○士林刀(士林の製作者の家を数軒訪ねる)
 どうにかして一本手に入れたいものだが。さっきの道端の子供のもってたのを譲ってもらえばよかったね。こんな品物が絶えるのは惜しい。
○淡水旧英国領事邸宅
 いい建物だ。これを貰って台湾の民藝館を作ればいいじゃないか。
○新竹市城隍廟
 信仰がまだ生きている。繁昌しているという点だけなら成田の不動さんなどはあるが、日本中でもこんなに信仰と生活がなまなましく結びついているのはないね。
○新竹より苗栗への車中にて(某窯業会社々長に)
 台湾の在来の陶器には何といってもまだ骨が残っている。漢代以来の力というものがまだ失われていない点は驚くべきものです。日本などでは少数の地方窯以外は、ほとんど全部弱々しいものを作っている。これは日本の恥です。ところが台湾や南支の在来の陶器は、世界のどこに出してもひけをとらない実に立派なものがある。そういうものを日常使っていた民族に向って、今の内地製品のようなものは恥しくて到底提供されるものではない。貴方のおっしゃるように、彼らには水さえ漏らなければというような、そんな気構えで仕事を始められるのは大変な間違いでしょう。成程彼らはいいものと悪いものの区別がわからないかも知れない。美しさを見出すのはどうしても日本人です。だからその日本人が美しいものを提供して、彼らの美意識をひき上げなければならない。日本人にはそれだけの責任がある。それにはまず相手のもっている立派なものを認めてそれを尊重することです。
○霧峰林献堂氏邸にて
 林本源の邸宅も面白かったが、ここはまた格別だ。人の棲んでいる家は生きている。
○林献堂邸にて「馬卵」という菓子を…

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