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編輯室より
へんしゅうしつより
作品ID57139
副題(一九一四年一二月号)
(せんきゅうひゃくじゅうよねんじゅうにがつごう)
著者伊藤 野枝
文字遣い新字旧仮名
底本 「定本 伊藤野枝全集 第二巻 評論・随筆・書簡1――『青鞜』の時代」 學藝書林
2000(平成12)年5月31日
初出「青鞜 第四巻第一一号」1914(大正3)年12月号
入力者酒井裕二
校正者雪森
公開 / 更新2016-12-18 / 2017-01-15
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


□先月は大変発行が後れましたから今月はと思つてゐましたけれど矢張り原稿の集め方がおそかつたのと手廻しよくゆかないためにまた後れました。来月は新年号のことでもありますからずつとはやく切り上げてしまはうと思つてゐます、何卒あしからずお許るし下さいまし。
□平塚氏は十四日から廿日迄上京してゐられましたが、また御宿へ帰られました。氏の宿所は千葉県御宿村須賀、長尾浅吉方です。なほ上駒込の宅はたゝまれましたので社はかりに私の宅においてゐます。私の処は小石川区竹早町八二です。
□廿七日の読売新聞に社の内部で何かゴタ/\でもあつて私が青鞜をやることになつたとか何とか妙な事が書いてありましたが決してそんなことはありません。委しいことは来月号に書きます。
□らいてう氏の「現代と婦人の生活」が先月廿四日日月社から出版されました。なほ同氏の「恋愛と結婚」の訳書も今年一杯には玄黄社から出る筈です。
□哥津ちやんもこないだ一寸上京しました。相変らずのおかつちやんです、来月には是非何かお書き下さる筈。
□野上八重子さんも来年迄は辛抱が出来ずお正月は東京でお迎へになる筈だとかまだ併し御帰京はない。お母様のお乳でお肥りになつたさうです。
□皐月さんのお店も繁昌いたして居ます。此度また店で直ぐと好きな果物を撰んで勝手に食べられるやうになりました。セイロンのおいしい紅茶ものめます。けれどそれよりも皐月さんが羽織りをぬいで筒袖のはんてんを着て前掛をしめて櫛巻きにして全くお神さんになりすまされた様子はまた一段ちがひます。それを見にいつては皐月さんに失礼ですが、まあ見にゐらつしやる丈けでもゐらつしやいまし、白山坂の中途で直ぐにわかりやすい処です。
□新刊を寄贈して下さるのに御紹介しなければすみませんがどうもこのいそがしさでは目を通すことも出来ませんからお正月によんで二月号ですつかりまとめて紹介いたしますつもりです。何卒あしからず。
□小石川雑司ヶ谷町百、天弦堂から近代思想叢書が刊行される。生田長江氏の「ニイチエの超人の哲学」岩野泡鳴氏の「悪魔主義の思想と文芸」相馬御風氏の「個人主義の哲学」吉江孤雁氏の「神秘主義者の思想及び生活」高村光太郎氏の「印象主義の思想と芸術」等である。
[『青鞜』第四巻第一一号、一九一四年一二月号]



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