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自作解説
じさくかいせつ
副題怪人二十面相と少年探偵団
かいじんにじゅうめんそうとしょうねんたんていだん
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「江戸川乱歩全集 第23巻 怪人と少年探偵」 光文社文庫、光文社
2005(平成17)年7月20日
初出「児童文学への招待」南北社、1965(昭和40)年7月
入力者sogo
校正者きゅうり
公開 / 更新2018-05-15 / 2018-04-26
長さの目安約 8 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

 表題の私の少年探偵小説について何か書くように勧められたが、私は三、四年来、病気でひきこもっていて、手足が不自由なため、筆が執れないので、手紙の返事などは、家族のものに代筆してもらっているような、ありさまである。以下の文章は拙著「探偵小説四十年」(千部限定、昭和三十六年、桃源社)の昭和十一年の章に「初めての少年もの」という見出しで書いたものがあるので、それに原稿紙三、四枚新らしく書き加えて責めをふさぐこととした。御諒承下さい。
 昭和十一年の正月号から、といえば前年の秋ごろから話がきまっていたわけになるが、どういう風のふきまわしか、私は少年ものを書いてみる気になった。もともと、私の娯楽雑誌に書く大人ものは、筋も子どもっぽいし、文章もやさしいものが多かったから、少年倶楽部の編集者が、この人はきっと子どもものに向くだろうと狙いをつけたのかもしれない。前々から依頼は受けていたけれど、それほど熱烈な依頼でもなかったので、私も本気になれないでいたのだが、このころになって、私の方でも、どうせ大人の雑誌に子どもっぽいものを書いているんだから、少年雑誌に書いたって同じことじゃないかという気になったのであろう。今では当時の心境をハッキリ思い出せないが、そういうことと、一方では新稿依頼の雑誌社数が昔よりは少なくなっていたところへ、少年倶楽部が強く依頼してくれたのがきっかけとなったものであろう。
 私はなんでも初めよし後悪し、竜頭蛇尾の性格で、昔やった職業でも、入社[#挿絵]々は大いに好評を博するのだが、慣れるにしたがって、駄目になってしまう。飽き性というのであろう。小説でも同じことで、大した苦労もせず、処女作が好評を博して、初期は甚だ好調であったが、すぐに行きつまり、その転換に、やけくそで大部数発行の娯楽雑誌に書いてみると、これがまた大当り、しかしそれも結局は竜頭蛇尾で、このころは大人ものがそれほどでなくなっていたので、又々転換という心境であったかもしれない。ところが、この少年ものの第一作がまた、例によって非常な好評を博したのである。
 私は最初少年ルパンものを狙って、題も「怪盗二十面相」とつけたものだが、そのころの少年雑誌倫理規定は、今よりきびしく、「盗」の字がいけないということで、語呂は悪いけれど、「怪人」と改めた。筋はルパンの焼き直しみたいなもので、大人ものを書くよりこの方がよほど楽であった。
 怪人二十面相は二十のちがった顔を持つといわれる変装の名人で、ルパンと同じように人を殺したり、傷つけたりするのが大きらいで、盗むものもお金ではなく、美術品や宝石ばかり。二十面相はひみつの美術館を持っていて、盗んだものは、ことごとくそこへ陳列しておくのである。あるときなどは、東京の博物館の古美術品全部を、にせものとすりかえて、本ものは自分の美術館へ運ぶという、はなれわざをやってのける…

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