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アリスはふしぎの国で
アリスはふしぎのくにで |
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作品ID | 57320 |
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原題 | ALICE IN WONDERLAND |
著者 | キャロル ルイス Ⓦ |
翻訳者 | 大久保 ゆう Ⓦ |
文字遣い | 新字新仮名 |
入力者 | 大久保ゆう |
校正者 | |
公開 / 更新 | 2015-07-04 / 2015-07-16 |
長さの目安 | 約 157 ページ(500字/頁で計算) |
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アリスはふしぎの国で
ぜんぶ きんきら ごごのこと
ゆるーり すいすい ぼくらは すすむ
2ほんの オールで ぎこちなく
ほそい かいなで こいでゆく
しろい おててが かっこうだけは
うねうね つづく さきを しめす
おお きびしい 3にんの ひめ!
よりによって こんなとき すてきなてんきに
いきも きれぎれ はね1ぽん びくとも
させられないのに おはなしを せがむなんて!
でも しゃべるくちは ひとつしかないんだよ
3にん いっしょに いわれても……!
ふんぞりかえる 1のひめ こっちを
にらんで さしず 「おはじめなさい」
おしとやかにも 2のひめの おのぞみは
「すっからかんな おはなしが あるといいな!」
それでいて 3のひめは かたるそばから
1ぷんに 1どは ちゃちゃいれるし
やがて たちまち しずまりかえり
おもいえがいて たどっていくのは
びっくりどきどき ふしぎの せかいを
ゆめの 子どもが どんどん ゆくさま
とりや けものと おしゃべりしながら――
じぶんでも なんだか ゆめうつつ
するうち ものがたり いきづまり
おもいつきも そこついて
そこで へとへと ふらふらのため
なんとか ひとまず うちきろうと
「つづきは またこんど――」「いまが こんど!」
と おおごえで はしゃがれる
かくして ふしぎのくにの おはなしが うまれ
こうして ゆっくり ひとつずつ
へんてこな できごとが ひねりだされて――
そして ここまで はなしは おしまい
ふねを おうちへ むける にぎやかな いちどう
うしろで おひさま しずんでいくよ
アリス! おとぎばなしを どうぞ
それから やさしい おててで そなえてほしい
おもいでという ひみつの いとで
ぬいこまれた こどものときの ゆめに
いまはもう しおれてしまった
はるかとおくで つんだ はなわに
[#改ページ]
1 ひゅうんとウサギ穴へ
アリスはあっきあきしてきた、木かげで、お姉さまのそばですわってるのも、何もしないでいるのも――ちらちらお姉さまの読んでる本をのぞいてみても、さし絵もかけ合いもない、「なら本のねうちって何、」とアリスは思う、「さし絵もかけ合いもないなんて。」
だから物思いにふけるばっかり(といってもそれなり、だって日ざしぽかぽかだとぼんやりねむくなってくるし)、デイジーの花輪作りはわざわざ立ち上がって花をつむほど楽しいものなのかしら――そこへふといきなり赤い目の白ウサギが1羽そばをかけぬける。
[#挿絵]
たいして目を引くようなところもないから、アリスにしてもさほどとんでもないとも感じないまま、聞こえてくるウサギのひとりごと。「およよ! およよ! ちこくでおじゃる!」(あとになって思い返すと、ここでふしぎが…