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早稲田大学の教旨
わせだだいがくのきょうし
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「大隈重信演説談話集」 岩波文庫、岩波書店
2016(平成28)年3月16日
初出「早稻田學報 第貳百貳拾五號」早稻田大學校友會、1913(大正2)年11月10日
入力者フクポー
校正者門田裕志
公開 / 更新2018-10-21 / 2018-09-28
長さの目安約 6 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

 閣下、諸君、今日は早稲田大学の三十年の祝典を挙ぐるに当り、見渡す限りこの大なる式場にほとんど溢れる如く参列されたのを感謝するのである。ことに吾人の最も光栄と致すのは、欧米諸国先進なる文明諸国の百有余の大学から祝辞を送られたのを衷心より感謝するのである。ことに著名な欧米の名誉ある大学から参列者を送られたことを早稲田大学の名誉として深く感謝致すのである。私はここに強大なる列国の全権大使全権公使諸閣下にもご案内致しておきまして、その多数はご出席のご承諾を得た。これまた学校として深く感謝致すところである。抑々教育はその意味に於て世界的であるのである。世界の文明は何に因って導かれたかと申すと、全く世界の学術の結果である。世界の文明は学術が根本である。而して学術の根本は大学に在る。真理には国境なし。真理は大学を透して世界の上に働いているのであります。この早稲田大学は創立以後僅かに三十年であるが、吾人はこの大学より時代の要求に応ずる人才の数多輩出することを希望しておったのである。ご承知の通り明治十五年にこの大学は現れたのである。専門学校として現れたのである。その時に学問の独立を標榜して現れたのである。而してこの三十年間に日本の文運、政治上、法律上、社会上の状態は非常に進歩したと同時に、この学苑の教旨そのものも次第に拡充されたのである。ここに於てこの創立三十年祝典を機とし、我が早稲田大学の教育の趣旨、即ち教旨を宣言するの必要を感じたのである。即ちこの場合に於て、数ヵ条の宣言を朗読致します。

早稲田大学教旨
早稲田大学は学問の独立を全うし学問の活用を効し模範国民を造就するを以て建学の本旨と為す
早稲田大学は学問の独立を本旨と為すを以てこれが自由討究を主とし常に独創の研鑽に力め以て世界の学問に裨補せん事を期す
早稲田大学は学問の活用を本旨と為すを以て学理を学理として研究すると共にこれを実際に応用するの道を講じ以て時世の進運に資せん事を期す
早稲田大学は模範国民の造就を本旨と為すを以て立憲帝国の忠良なる臣民として個性を尊重し身家を発達し国家社会を利済し併せて広く世界に活動すべき人格を養成せん事を期す

 これが本大学の教育の大綱である(拍手喝采)。これを少しく説明する必要を感ずるのである。世界の文明は停滞するものでない。世界の文明は日に進歩しつつある。すべて世界の思想感情、すべて社会の状態は日に月に変化しつつある時に当って国を立て社会を為し、またこの国と社会とのために大学教育を施さんとするには、その根本として雄大なる理想がなくてはならぬ。今日本はまさに東西文明の接触点に立っている。吾人の大なる理想は文明の調和者として東洋の文明と西洋高度の文明と並行せしめ、調和せしむるにある。吾人はこの理想の実現に努めなくてはならぬ。この理想を実現するには何としても学問の独立、学問の活用を主と…

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