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祝東京専門学校之開校
しゅくとうきょうせんもんがっこうのかいこう
著者
文字遣い新字新仮名
底本 「早稲田大学」 岩波現代文庫、岩波書店
2015(平成27)年1月16日
初出「祝東京専門学校之開校」と題して東京専門学校開校式での演説、1882(明治15)年10月21日
入力者フクポー
校正者岡村和彦
公開 / 更新2018-10-21 / 2018-09-28
長さの目安約 14 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

 本校の恩人大隈公、敬賓及び本校諸君、余の不学短識を以て職に本校の議員に列し、その員に加わるは、甚だ僭越の事なり。然りと雖、本校の恩人大隈公は余を許してその末に加わらしめ、校長・議員・幹事・講師諸君も亦、甚だ余を擯斥せざるものの如し。これを以て余は自から吾が不学短識を忘れ、妄りにその員に具われり。唯余や不学短識、本校に補う所なかるべし(否々)。然れども既に隈公の知を蒙り、又諸君の許す所となる余は、唯我が強勉と熱心とを以て、力をこの校に竭し、その及ばん限りは隈公の知に酬い、諸君の望に対うべし(拍手)。願くは、本校の恩人及び諸君は、余の不学短識を捨ててその熱心を取り、余をして知己の人に酬ゆるの一端を得せしめよ(喝采)。
 余が本校の議員に列し、熱心と勉強とを以て、事に茲に従わんと欲せしものは、唯り隈公と諸君との知遇に感ぜしのみにあらず、蓋し又別に自から奮う所ありて然るなり。余は従来一箇の冀望を抱けり。その冀望とは他なし、余が生前に在って吾が微力を尽して成立せし一箇の大学校を建て、これを後世に遺し、私に後人を利するあらんと欲する、これなり。この冀望たる、余が年来の志望にして、毎に用意せし所なりと雖ども、その事の大にして且つ難きや、未だこれを全うするの歩を始むるを得ず、荏苒今日に至れり。然るに、今や隈公が天下後進を利済するの仁あるに遇い、我東京専門学校の起るに及ぶ。余れ豈に微力をこの間に尽し、平生の冀望を全うするの歩を始めざるを得んや。顧うに、若し隈公にして余のこれに与かるを許さず、諸君にして余を擯斥するあるも、余は尚お自から請うてこの事に従い、微力ながらも余が力を尽し、余が平生の冀望を全うするの途に就くなるべし。然るを、況んや今隈公は余のこれに与かるを許し、諸君は甚だこれを擯斥せず、余れ豈に微力をこの間に尽さざるを得んや(喝采)。
 それ、一滴の雨水も聚まれば大洋を成し、一粒の土砂も合すれば地球を為す。余が力、微々なりと雖ども、熱心してこれを久しきに用うれば、又或は積て世に利益する所あらん乎(謹聴、喝采)。
 余が本校に尽さんと欲するの心情、実にかくの如し。而して余が本校に望む所、又随て大なり。余は本校に向て望む、十数年の後ち漸くこの専門の学校を改良前進し、邦語を以て我が子弟を教授する大学の位置に進め、我邦学問の独立を助くるあらんことを(謹聴々々、大喝采)。顧みて看れば、一国の独立は国民の独立に基いし、国民の独立はその精神の独立に根ざす(謹聴々々、拍手)。而して国民精神の独立は、実に学問の独立に由るものなれば、その国を独立せしめんと欲せば、必らず先ずその民を独立せしめざるを得ず(大喝采)、その民を独立せしめんと欲せば、必らず先ずその精神を独立せしめざるを得ず、而してその精神を独立せしめんと欲せば、必らず先ずその学問を独立せしめざるを得ず(大喝采)。これ数の天然に出…

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