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「ニールスのふしぎな旅 下」まえがき
「ニールスのふしぎなたび げ」まえがき
作品ID58051
著者矢崎 源九郎
文字遣い新字新仮名
底本 「ニールスのふしぎな旅 下」 岩波少年文庫、岩波書店
1954(昭和29)年1月20日
入力者sogo
校正者チエコ
公開 / 更新2019-11-20 / 2019-11-02
長さの目安約 4 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

「ニールスのふしぎな旅」の上巻を、お読みにならなかった方のために、作者のラーゲルレーヴさんのことと、このお話に出てくる人や鳥たちのことを、かんたんに説明しておきましょう。
 セルマ・ラーゲルレーヴさんは、一八五八年、スウェーデンのヴェルムランドという地方に生まれました。足がすこし不自由だったせいもあって、小さいときから本を読むことが大すきでした。二十三歳のころ女子高等師範学校にはいり、そこを卒業してからは、しばらく女学校の先生をしていました。そのころ、故郷の伝説をもとにして「イェスタ・ベルリング物語」という作品を書き、これによってラーゲルレーヴさんは一躍有名になりました。
 一九〇二年には、スウェーデンの教育会から、子どもに読ませるための本をたのまれました。そこで、ラーゲルレーヴさんは、三年のあいだ鳥やケモノの生活をくわしくしらべました。こうして苦心したあげく、ようやく書きあげたのが、この「ニールスのふしぎな旅」です。
 ラーゲルレーヴさんは、このほかにも、たくさんの作品を発表しています。こうした文学上の活躍が認められて、一九〇九年には女の人としてはじめての名誉であるノーベル文学賞を受けました。
 そのうちに第二次大戦がはじまり、ラーゲルレーヴさんは、この戦争がだんだん大きくなっていくのを心配しながら、一九四〇年に息をひきとりました。
 さて、この「ニールスのふしぎな旅」は、ニールス・ホルゲルッソンというお百姓の男の子のお話です。いたずら小僧のニールスは、おとうさんやおかあさんの留守のまに、小人をからかったため、小人の姿に変えられてしまいました。ちょうどその時、ニールスの家の上を通りかかったガンのむれが、ニールスの家の白ガチョウを空の旅にさそおうとしたので、ニールスはあわてて止めようとして、かえって、じぶんもガチョウのせなかにのったまま、空の旅に出ることになってしまいました。
 それから、小さいニールスは、家も食べ物も何もない、野の生き物たちと生活をともにして、小さな生き物たちの苦しみや悲しみをつぶさに知ります。また、この旅のあいだに、スウェーデン各地の伝説や、おもしろい風俗や、ためになることをたくさん学びます。
 今まで生き物さえ見れば、いじめたり、からかったりばかりしていたニールスのことを、野の鳥やケモノたちのほうでも、よく思っていませんでした。けれども、ニールスが、リスの親子のいのちを助けたり、キツネのズルスケからガンのむれを守ってやったおかげで、だんだんにガンの仲間や、いろいろなケモノたちと仲よしになることができました。
 わるもののキツネのズルスケは、下巻のほうのお話にも出てきています。なんとかしてガンのむれを食いちらし、ニールスを殺してしまおうと、つけねらっているのです。
 ガンのむれの隊長アッカは、年をとった、ちえのあるりっぱな女のガンです。は…

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