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唐招提寺木彫如来形像
とうしょうだいじもくちょうにょらいぎょうぞう
作品ID58182
著者高村 光太郎
文字遣い旧字旧仮名
底本 「高村光太郎全集第五卷」 筑摩書房
1957(昭和32)年12月10日
初出「日本美術の鑑賞 古代篇」帝国教育会出版部、1942(昭和17)年6月20日
入力者岡村和彦
校正者nickjaguar
公開 / 更新2021-04-02 / 2021-03-27
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


 唐招提寺には鑑眞和上に隨從して來た諸律僧の中の優れた彫刻家が、唐風の樣式をそのまま作り出した佛像が多いので、一種別樣の作風が見られて興味がある。そして此の律宗獨特の作風がすぐあとにつづく弘仁の密教的佛像に影響を與へてゐる點もおもしろい。この如來形像の一木造りの殘缺も遺憾なく當時傳來の技法を示してゐる。大陸で發達した石彫彫刻の技法が檀木の彫刻に自然と移行して來て、この如來形像などはまるで石彫の衣紋そつくりの彫り方が爲てある。しかもそれが石でなくて木材であるため、用刀の制約から必然的に木彫としての特質を生かすことになつてゐるのがおもしろいのである。かういふ樣にして他國の藝術樣式などが消化されてゆくところを見ると、われわれもどしどし平氣で異質の美を世界の到る處から攝取して消化してしまふがいいと思ふ。



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