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副題〔いつたん此世に〕 
〔いつたんこのよに〕
著者
文字遣い旧字新仮名
底本 「高村光太郎全集第五卷」 筑摩書房
1957(昭和32)年12月10日
初出「キング 第三十巻第一号」1954(昭和29)年1月1日
入力者岡村和彦
校正者nickjaguar
公開 / 更新2019-04-02 / 2019-03-29
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)
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本文より


 いつたん此世にあらわれた以上、美は決してほろびない。
 眞理はつねに更生せられて、一つの眞理から次の眞理へとうつりかわり、前の眞理はほろびる。それが眞理の本然である。
 美は次々とうつりかわりながら、その前の美が死なない。紀元前三千年のエジプト藝術は今でも生きて人をとらえる。
 一民族の運命は興亡常ないが、その興亡のあとに殘るものはその民族の持つ美である。その他のものは皆傳承と記録との中にのみ殘るに過ぎない。
 美を高める民族は人間の魂と生命とを高める民族である。



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