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作品ID | 58204 |
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副題 | 〔いつたん此世に〕 〔いつたんこのよに〕 |
著者 | 高村 光太郎 Ⓦ |
文字遣い | 旧字新仮名 |
底本 |
「高村光太郎全集第五卷」 筑摩書房 1957(昭和32)年12月10日 |
初出 | 「キング 第三十巻第一号」1954(昭和29)年1月1日 |
入力者 | 岡村和彦 |
校正者 | nickjaguar |
公開 / 更新 | 2019-04-02 / 2019-03-29 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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いつたん此世にあらわれた以上、美は決してほろびない。
眞理はつねに更生せられて、一つの眞理から次の眞理へとうつりかわり、前の眞理はほろびる。それが眞理の本然である。
美は次々とうつりかわりながら、その前の美が死なない。紀元前三千年のエジプト藝術は今でも生きて人をとらえる。
一民族の運命は興亡常ないが、その興亡のあとに殘るものはその民族の持つ美である。その他のものは皆傳承と記録との中にのみ殘るに過ぎない。
美を高める民族は人間の魂と生命とを高める民族である。