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北越雪譜
ほくえつせっぷ
副題06 北越雪譜二編
06 ほくえつせっぷにへん
著者山東 京山 / 鈴木 牧之
文字遣い新字旧仮名
底本 「北越雪譜」 ワイド版岩波文庫、岩波書店
1991(平成3)年12月5日
初出「北越雪譜 二編四巻」文溪堂、1841(天保12)年11月
入力者富田晶子
校正者雪森
公開 / 更新2020-02-22 / 2020-01-31
長さの目安約 131 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

北越雪譜二編 巻一


越後塩沢   鈴木牧之  編撰
江戸     京山人百樹 増修

○ 越後の城下

 越後の国往古は出羽越中に距りし事国史に見ゆ。今は七郡を以て一国とす。東に岩船郡(古くは石に作る海による)蒲原郡(新潟の湊此郡に属す)西に魚沼郡(海に遠し)北に三嶋郡(海による)刈羽郡(海に近し)南に頸城郡(海に近き処もあり)古志郡(海に遠し)以上七郡也。城下は岩船郡に村上(内藤侯五万九千石ヨ)蒲原郡に柴田(溝口侯五万石)黒川(柳沢侯一万石陣営)三日市(柳沢弾正侯一万石陣営)三嶋郡に与板(井伊侯二万石)刈羽郡に椎谷(堀侯一万石陣営)古志郡に長岡(牧野侯七万四千石ヨ)頸城郡に高田(榊原侯十五万石)糸魚川(松平日向侯一万石陣営)以上城下の外頗豊饒[#「豊饒」の左に「ニギハヒ」の注記]を為す処、魚沼郡に小千谷、古志郡に三条、三嶋郡に寺泊○出雲崎、刈羽郡に柏崎、頸城郡に今町なり。蒲原郡の新潟は北海第一の湊なれば福地たる[#挿絵]論を俟ず。此余の豊境は姑略す。此地皆十月より雪降る、その深と浅とは地勢による。猶末に論ぜり。

○ 古哥ある旧蹟

 蒲原郡の伊弥彦山(弥一作夜)伊弥彦社を当国第一の古跡とす。祭るところの御神は饒速日命の御子天香語山命なり。 元明天皇の和銅二年の垂跡とす。(社領五百石)此山さのみ高山にもあらざれども、越後の海浜八十里の中ほどに独立して山脉いづれの山へもつゞかず。右に国上山、左に角田山を提攜[#「提攜」の左に「カヽヘ」の注記]して一国の諸山是に対して拱揖[#「拱揖」の左に「コシヲカヽメル」の注記]するが如く、いづれの山よりも見えて実に越後の鎮[#「鎮」の左に「マモリ」の注記]ともなるべき山は是よりほかにはあらじとおもはる。さればこそ命もこゝに垂跡まし/\たれ。此御神の縁起或は[#挿絵]験神宝の類記すべき[#挿絵]あまたあれども姑こゝに省。
○さて此山をよみたる古哥に(万葉)「いや日子のおのれ神さび青雲のたなびく日すら小雨そぼふる(よみ人しらず)」又家持に「いや彦の神のふもとにけふしもかかのこやすらんかはのきぬきてつぬつきながら」▲長浜 頸城郡に在り。(三嶋郡とする説もあり)家持の哥に「ゆきかへる雁のつばさを休むてふこれや名におふ浦の長浜」▲名立 同郡西浜にあり、今は宿の名によぶ。 順徳院の御製に(承久のみだれに佐渡へ遷幸の時なり)「都をばさすらへ出し今宵しもうき身名立の月を見る哉」▲直江津 今の高田の海浜をいふ。 同御製に「なけば聞きけば都のこひしきに此里すぎよ山ほとゝぎす」▲越の湖 蒲原郡に潟とよぶ処多し。里言に湖を潟といふ。その大なるを福嶋潟といふ、四方三里計。此潟に遠からずして五月雨山あり。貫之の哥に「潮のぼる越の湖近ければ蛤もまたゆられ来にけり」又俊成卿に「恨てもなにゝかはせんあはでのみ越の湖みるめなければ」又為兼卿「年をへてつも…

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