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『小言林』あとがき
『しょうげんりん』あとがき
作品ID58505
著者新村 出
文字遣い新字新仮名
底本 「新村出全集第九巻」 筑摩書房
1972(昭和47)年11月30日
初出「小言林」全国書房、1949(昭和24)年8月
入力者フクポー
校正者きゅうり
公開 / 更新2019-03-22 / 2019-02-22
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


 編者はさきに『言林』を編集したが、全国書房社長田中秀吉氏は、更に適切な学習用国語辞典の乏しいことを遺憾として、これが編集を懇請された。編者もまたその趣旨には大賛成であり、且つこの大過渡期に際し、同氏が社運をかけて、国語文化の復興と向上とのためにまい進される熱意に感じ、各編集員の協力を求め再び印刷・校正・事務各員の奮励を得た結果、幸いにしてこゝに完成を告げたのである。
 凡例にも述べたように、現代かなづかいと当用漢字とを使用し且つ国語の教科書と形質に密切な連けいを保つように努めた国語辞典は実に少数である。従って草創にひとしい性質上、欠陥の生じ易いことは免れがたいにしても、博雅の士の高批実際家の判断を煩わし、版を重ねるに従って訂正を加え、順次、改善の実を挙げるつもりである。
 本書の出版に際して、田中社長が社員を激励し更に印刷所との交渉に万全を期せられた結果、千二百ページ以内の本辞典がめでたく誕生するに至ったことは喜ぶべきことである。
 同社企画部員文学士関口龍男氏が校正部長近藤孝一氏とともに国語教科書を検討し、校正事務においても、他の部員とともに和衷協同、終始一貫、奮闘の限りを尽くし、この文化事業に心身の一切をさゝげられたことはもちろん近藤氏が『言林』編集において練成された手腕を更に本辞典に傾注し、原稿の整理・内外の交渉・校正事務の統一・指導等に対し、そのとうとい青春の全エネルギーを傾倒せられた涙ぐましい努力に対して、彼此相併せて編者は心からなる感謝の意を両君に表するものである。高岡裕子女史以下婦人校正部員が久しきにわたって勤勉せられたことに対しても感謝の念が深い。
 終りに日本写真印刷株式会社社長鈴木直樹氏及び営業部長鈴木義道氏を始め、佐藤活版課長その他多数の工員諸君が本辞典の刊行に共感せられ、全機能を挙げて努力の限りを尽くされて得た実績に対しても、衷心より深謝の意をのべたい。(昭和二十四年八月)
(昭和二十四年八月刊『小言林』)



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