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作品ID | 58703 |
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原題 | TO EVERY JAPANESE |
著者 | ガンジー マハトマ Ⓦ |
翻訳者 | The Creative CAT Ⓦ |
文字遣い | 新字新仮名 |
入力者 | The Creative CAT |
校正者 | |
公開 / 更新 | 2017-10-02 / 2019-11-22 |
長さの目安 | 約 9 ページ(500字/頁で計算) |
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始めに告白せざるを得ません。あなた方を敵視しているわけではありませんが、私はあなた方の中国に対する攻撃を激しく憎悪しています。あなた方は立派な高みから帝国の野望へと落ちてしまったのです。あなた方がその野望を実現することはできないでしょうし、あるいはアジアを分断した張本人となるかもしれません。かように、あなた方はそれと知らぬうちに世界の連盟と同胞愛とを妨げているのであり、そのような連盟や同胞愛なしには人類の希望はあり得ぬからです。
五十年以上の昔、十八の若造としてロンドンで学んでいた頃から、私は故サー・エドウィン・アーノルドの著作を通じて、あなた方の国が持つ数多くの優れた資質を賞賛するようになりました。南アフリカ滞在中に、あなた方がロシア軍に対して見事な勝利を収めたと知った時はわくわくしたものです。一九一五年に南アフリカからインドに帰国してからは、私どものアシュラムに折々属していた日本人僧侶たちと親しく交流するようになりました。その内の一人(*1)はセバグラムのアシュラムの貴重な一員となり、その精進ぶり、堂々たる忍耐力、日々の礼拝への不屈の献身、愛想の良さ、種々の状況にも動じぬ姿、平和な内面を明瞭に物語る自然な微笑み、これらのために私ども皆から慕われたのです。そんな彼も、今ではあなた方が大英帝国に対し宣戦布告したせいで連れ去られてしまいました。愛すべき同僚だった彼がいなくなったことを悲しく思っています。今でも彼を思い出す縁があります。日ごとの祈祷と小さな太鼓。私どもは朝夕の祈りを始める時、この太鼓を鳴らします。
かように愉快な記憶を背景として、私の目には正当な理由なく開始されたと映る対中攻撃および、もし報道が正しいとすれば、かの偉大なる古の土地に対するあなた方の情け容赦ない蹂躙を鑑みるに、私は深く嘆き悲しむのです。
世界の列強と肩を並べようというのは、あなた方の立派な野心でした。中国への攻撃と枢軸国との同盟は、実に、その野心を不当なまでに割り増したものだったのです。
あなた方がかの偉大なる古き人々の隣人たることを誇っていると、本来ならばそう考えるべきなのでしょう。あなた方はその隣人の古典文芸を自らのものとしてきたではありませんか。互いの歴史、文化、および文学についてあなた方が持つ理解、それはあなた方を現在そうであるような敵同士ではなく、友人として結びつけるべきものなのです。
もし私が自由人であり、あなた方が入国を許可してくださるならば、衰えた体に鞭打ち、健康上の危険性も、命すらなにするものぞとあなた方の国に参上し、あなた方が目下中国および世界に対して、従ってあなた方自身に対してもなしている過ちを思い留まるようにと懇願することでしょう。
しかし私にはそのような自由がありません。また私どもは帝国主義に抵抗せねばならぬ独自の立場にいます。私どもはあなた…