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私生児のこと
しせいじのこと
作品ID58760
著者柳田 国男
文字遣い旧字旧仮名
底本 「定本柳田國男集 第十五巻」 筑摩書房
1963(昭和38)年6月25日
初出「民族 三卷一號」1927(昭和2)年11月
入力者フクポー
校正者植松健伍
公開 / 更新2026-07-31 / 2026-07-30
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


 ナイショウゴといふ語は、又筑前戸畑市邊でも用ゐられて居るさうである。テテナシゴは多分何處にも通ずるであらうが、秋田市でもやはりテデナシゴ、同縣横手町ではホッタワラス。ホッタ即ち私の貯財のことで、山陰各地のホリタ、フリタと同じく、新開田のホリ田から出て居り、シンガイも同じ意味で、大寶令以來の墾田私財の思想が、後終に家族の別働きの上にも及んだことを語るもので、それが更に又一轉したものと思はれる。尚栃木縣ではホマチゴ、ホマチも亦内密の貯金である。會津の河沼郡ではシラハゴ、是は白齒子であつて、前號に高木君の報ぜられた嫁が必ずお齒黒をつけた風習(郷土研究二卷一一二二頁)によつて説明せられる。可愛さうだよ白齒で身持ちといふ俗謠は人のよく知る所である。其他加賀でダゴノコ、日向でチョチョナンコといふ二つはまだ意味がよく分らぬ。前項堀井君所報の阿波のイキリダマと共に、注意すべき例である。因みにいふ。筑前博多では觀賞草木の自然生をテントウバナと謂つて居る。天道も自然も意味同じとすれば、鹿兒島地方の私生兒方言テントゴの起原も、さ迄深く臆測するに及ぶまい。



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