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川端茅舎句集
かわばたぼうしゃくしゅう
作品ID58860
副題01 序
01 じょ
著者高浜 虚子
文字遣い新字旧仮名
底本 「現代日本文學大系 95 現代句集」 筑摩書房
1973(昭和48)年9月25日
入力者kompass
校正者鴨川佳一郎
公開 / 更新2018-07-17 / 2018-06-27
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


 茅舎句集が出るといふ話をきいた時分に、私は非常に嬉しく思つた。親しい俳友の句集が出るといふ事は誰の句集であつても喜ばしいことに思へるのであるけれども、わけても茅舎句集の出るといふことを聞いた時は最も喜びを感じたのである。それはどうしてであるかといふ事は自分でもはつきり判らない。
 茅舎君は嘗ても言つたやうに、常にその病苦と闘つて居ながら少しもその病苦を人に訴へない人である。生きんが為の一念の力は、天柱地軸と共に、よく天を支へ地を支へ茅舎君の生命をも支へ得る測り知られぬ大きな力である。
 茅舎君は真勇の人であると思ふ。自分の信ずるところによつて急がず騒がず行動してをる。
 茅舎君は雲や露や石などに生命を見出すばかりでなく、鳶や蝸牛などにも人性を見出す人である。
 露の句を巻頭にして爰に収録されてゐる句は悉く飛び散る露の真玉の相触れて鳴るやうな句許りである。
昭和九年九月十一日
ホトトギス発行所
高浜虚子



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