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親友たち
しんゆうたち |
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作品ID | 59177 |
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原題 | THE GOOD FRIENDS |
著者 | スミス コードウェイナー Ⓦ |
翻訳者 | The Creative CAT Ⓦ |
文字遣い | 新字新仮名 |
入力者 | The Creative CAT |
校正者 | |
公開 / 更新 | 2018-07-11 / 2019-11-22 |
長さの目安 | 約 11 ページ(500字/頁で計算) |
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星の海を渡る人は友を必要とする――
設計の良いシステムなら常に
それを提供する方策を見いだすものだ!
熱のせいで彼は少年のように見えた。看護婦は医師の後ろに立って、彼を熱心に見つめていた。彼女は曖昧な微笑みを浮かべていた。そこには優しさと彼の男性としての魅力に惹かれる気持ちとが入り混じっていた。
「いつ出られますか、先生?」
「おそらく数週間以内には。まずはよくなることです。」
「退院して帰宅する、というのではありません、先生。いつ宇宙に戻れますか? 僕は船長です、先生。腕のいい船長です。ご存知ですよね?」
医師は重々しく頷いた。
「戻りたいんです、先生。今すぐ戻りたい。元気になりたいんです、先生。今すぐ元気に。自分の船に戻ってまた離陸したいんです。自分がなぜここにいるのかすらわかりません。僕に何をしているんですか? 先生は。」
「私たちはあなたを治そうと努力しています」と医師は答えた。優しく、真剣に、権威をもって。
「僕は病気ではありません。あなた方は間違った人間を入院させたんです。僕たちは船を着陸させましたよね? 全てうまくいっていました、違いますか? そこで僕たちは下船し始めて、そこで全てが真っ暗になりました。気がつけばこの病院にいます。なんだか胡散臭い感じがするんです、先生。宇宙港で負傷したのでしょうか?」
「いいえ、」医師は言った。「宇宙港で傷つけられたりはしませんでした。」
「それならなぜ僕は失神したのでしょう? なぜ病院のベッドに? 何かが僕の身に起きたはずです、先生。何か理由がなければいけない。さもなければここにはいないはずです。何か馬鹿げた恐ろしい出来事が起きたはずです、先生。あんなに快調だった飛行の後ですよ。どこでそんなことが?」患者の目に荒々しい光が宿った。「僕は誰かに何かされたのですか、先生? 僕は怪我などしていませんよね? 再起不能になどなっていませんよね? 宇宙に戻れますよね、違いますか?」
「おそらく。」と医師。
看護婦が何か言いたげに深呼吸した。医師は向き直ると厳しい渋面を作った。「黙っていろ」という意味だ。
患者はそれを見て取った。
彼の声に絶望の色が加わった。もはや泣き言? 「どうしたのですか、先生? 何故話してくれないのですか? 何がまずいのですか? 僕の身に何かが起きた。ラルフは? ピートは? ジョックはどこに? 最後に彼を見たときはビールを飲むところでした。ラリーは? ウェントは? ベティは? 僕の仲間はどこにいったのですか、先生。殺されたりしていませんよね? 残ったのは僕だけじゃありませんよね? 教えてください、先生。本当のことを。僕は宇宙船の船長ですよ、先生。現役時代ひどい地獄を見てきたのです、先生。何をお話しになってもいいんです、先生。そんなに悪くはありません。何を聞いても大丈夫です、先生。船の仲間…