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人間本性論(人性論)
にんげんほんせいろん(じんせいろん)
副題実験的研究方法を精神上の主題に導入する一つの企て
じっけんてきけんきゅうほうほうをせいしんじょうのしゅだいにどうにゅうするひとつのくわだて
原題A Treatise of Human Nature
著者
翻訳者井上 基志
文字遣い新字新仮名
入力者井上基志
校正者
公開 / 更新2019-01-13 / 2018-12-23
長さの目安約 518 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

凡例


「」:斜字体や大文字の強調は、「」でくくった。
[]:原注・脚注は、[]でくくって本文に入れた。
():訳者の補足を、()でくくって挿入した。
付録は、指示されている挿入個所の本文に入れた。巻末の付録には、それ以外を訳出した。

[#改丁]
[#ページの左右中央]


第一巻 知性について



[#改ページ]


第一編・第二編についての緒言

 この著作の目的・計画は、序論で十分に明らかにされている。読者はしかし、計画した全ての主題がこの第一編・第二編だけでは扱われていないことに注意する必要がある。知性と感情についての主題は、それ自体完結した一連の論証を成している。そこでこの自然の区分を利用して、公の評価を受けるために、この第一編・第二編を先に出版することになった。もし幸運にも高評価を得られれば、次の道徳論・政治論・文芸批評に検討を進め、この『人間本性論』は完成するだろう。公の承認こそ私の著作に対する最高の報酬だと思う。しかし私は、どのような評価であれ無上の教訓とみなすことを決めた。
[#改ページ]

序論
 哲学と科学において何か新しいことを発見したと自称する者らにとって、それ以前に唱道された体系の全てを公然と非難することで自らの体系を遠回しに賞賛することは、まさしく自然で一般的なことである。そしてまったく彼らが、人知の裁くべき最も重要な問題にある未解明の無知を嘆くことだけで満足していたとすれば、諸学に心得がある人々のなかでは、彼らにすぐに賛成しないものは、ほとんどいないだろう。見識と学識のある人には、既に絶大な名声を得た、正確で深遠な証明とまで最大限に誇称する体系ですら、その基礎が脆弱なことに気づくことはたやすいことだ。信用だけに基づく原理、その原理からぎこちなく推論された結論、部分では首尾一貫性の欠如、全体では根拠の欠如、これらは最も著名な哲学者の体系においてすら、いたる所に見受けられる点であり、またそれらが哲学自身の今日の不面目をもたらしたと思われる。
 否、諸学の不完全な現状を見出すには、それほど深い知識を要しない。戸外の野次馬さえ、耳にする物音や喚き声から内部の大混乱が判るだろう。およそ討論の主題でないものはなく、学者のあいだに反対説のないものはない。いかに些細な問題も論争を免れなく、いかに重大な問題も確実な解決は少しも得られない。まるであらゆるものが不確かであるように論争は増加しているが、あたかもあらゆるものが確実であるかのようにそれぞれの論争は熱烈に行われる。こうした争乱の渦中にあっては、公の賞をもたらすのは理知ではなく雄弁である。聴衆のお好みの色で表現する雄弁術を心得た者は、どんなとっぴな仮説にも帰依者を得ることに決して絶望することはない。勝利は刀槍を執る武士の力に依ってではなく、喇叭手・鼓手・軍楽隊に依って得られるのである。…

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