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Rosellinia necatrix (R. Hart.) Berlese の子嚢殻の裂開性について
ロセリニア ネカトリクス(エール.ハルト.)ベルレーゼのしのうかくのれっかいせいについて
作品ID59606
原題Sur la déhiscence des périthèces du Rosellinia necatrix (R. Hart.) Berlèse
著者プリリュー エドゥアール・エルネ
翻訳者竹本 周平
文字遣い新字新仮名
入力者竹本周平
校正者
公開 / 更新2019-03-10 / 2019-03-08
長さの目安約 10 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

[#ページの左右中央]


Rosellinia necatrix(R. Hart.) Berlese の子嚢殻の裂開性について

(著者のプリリューは,最外殻の子嚢子座および内部の子嚢殻の両方を合わせてこうよんでいると思われる.以降,多くの場合,子嚢子座と読み替えて差し支えない)

国立学院教授(原文では「M. PRILLIEUX, de 〔l'Institut〕」.確証には至らなかったが,「M.」は教授職などの専門職を表す敬称Ma[#挿絵]treの略とみなし,仮に「教授」の訳をあてる.不可解なことに,ハルティヒやベルレーゼにはこの敬称が付されていない),プリリュー著


[#改ページ]

 ロベルトハルティヒ(ドイツの森林病理学者,菌学者 Robert Hartig)がDematophora necatrixと名付けてくわしく研究した菌こそは,多年性植物や果樹,ブドウ樹を侵す菌類のうち最も危険で最も名の知れたもののひとつである.この菌は南仏のブドウ農家が根朽病(野村彦太郎(1901)の用いた病名にならう.原文では単に「le Pourridi[#挿絵]」)とよぶ病害の主たる病原菌である.その病害は,パリ近辺ではモントルイユ(パリ郊外の東に位置する市)庭園などで桃の果樹檣(垣根状に仕立てた果樹園)に被害を及ぼしている.
 他の土壌生息菌と同様に,Dematophoraには通常は栄養菌糸しか見られないが,根朽病の罹病樹の上には特徴的な菌糸が見られる.そこに見られる構造的特徴については,いまやよく知られている.ただし,その構造物は常に不稔である.枯死枝が長い間地面に埋まっていると,その中でDematophoraは腐生的に生き続けているのだが,分生子はそうした枝の表面にだけ発生する.このことはハルティヒがよく調べており,この分生子の形態的特徴をつぶさに記載してDematophoraの名を与えたのだった(1).
(1)ROB. HARTIG, ―― Untersuchungen aus dem forstbotanischen Institut, III, 1883. ―― Ibid., p. 126.
 1891年までは,本菌がこれ以外の胞子形成様式をとることは知られていなかった.ハルティヒはDematophoraの菌糸の上に子嚢果を探したが,結局見つからなかった.彼は子嚢果が存在するのではないかと疑っており,それまでに研究していたRosellinia quercinaとD. necatrixとの類似を,菌糸束からなる胞子形成菌糸(原文では「filaments fructif[#挿絵]res」)や分生子に着目して鋭く指摘してもいる.その論文に基づくなら,本菌がRosellinia属または近縁の菌の分生子形態だと考えるのは合理的だ.
 ハルティヒの見事な研究論文から…

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